2011年6月23日木曜日

自己申告書を駐在先のタイで書くの巻き

勤め人なら、こう言うのって書いたことがあると思います。
派遣だったり、パートだったりすれば別かもしれません。
長く努めていれば、書かされる羽目になるもんです。

会社を批判する気もあまりありません。
だって、こうして合弁会社の社長になれたんだからね。
日本に居れば、単なる管理職に過ぎないのです。

肩書きが、一挙に社長へ昇格するってことは、まっことめでたい。
ですので、会社には一応感謝せねばならないと思っています。
でも、本音はちょっと不満もあるんですね。

実を申しますと、これまで輸出の主力製品は日本からでした。
部分的に、タイでも請け負えた輸出モデルもあります。
でも、それはローエンド(普及)レベルの製品で、ちょっと不満です。

ハイエンド(高級)の製品も製造できるから輸出したい。
でも、それがちょっとコスト的に競争できなくて無理なんですね。
付加価値の高い部品を一切合財、日本から輸入しなくてはならない。

部材も値が張るし、輸入コストがバカにならないのです。
これに、貨物が工場に到着するまで二ヶ月以上掛かったりします。
となれば、欠品は避けたい一心で、在庫を余計に抱えてしまいます。

そんなかんだで、部材の国産・輸入を金額比で調べてみました。
なんと、高級機の場合は、65%が日本からのを含め輸入品なのですよ。
国産は、残りの35%でして、国産化比率を上げない限りコストは下がらない。

それでも、普及機は半分ぐらいは国産化が進みました。
でも、それでも低い次元に止まっていると思ってしまうのです。
後は、日本から生産拠点をかなり引っ越さないと、国産化は無理でしょう。

実は、この業界は専門過ぎて市場が非常に限定されています。
全世界の需要も自動車のように巨大ではありません。
ですので、これまでは、日本の工場で輸出してもまかなえる程度だったのです。

ただ、為替が一ドル八十円に張り付いてしまいました。
この為替では、どんなにコストダウンを繰り返しても極限にまで来ています。
もう、BRICSが製造する製品には、日本発では勝負できないかもしれない。

ここまで来ると、生産拠点を写すか否かの検討段階です。
創業の思い出のある工場だからと言って温存しても、仇になってはいけない。
そう思いながら、自己申告書を書いてしまいました。

1.あなたの担当職務を簡単に記入してください。
  また、仕事面で負担と感じることがあれば記入してください。

職責:タイへっぽこ社社長、職務内容:経営管理全般。
特に負担はない。

2.会社・職場へ意見と希望があれば記入してください。
今年度、日本の製造部門から監査を受け、主力工場に匹敵するレベルとの評価を受けた。
現状の製造レベルでは、品質面で不足・不満は無いし、コスト面でも優位に立つ部分があるだろう。
しかも、輸出製造拠点としてはアジアのハブ:バンコクに位置し、物流コストでも有利である。
グループの世界戦略拠点として、当社を有効に活かせるよう、検討すべき時期になったと思う。

と言うわけで、これが道産子社長の精一杯の会社批判なのです。日本の生産拠点を無くしてしまえば、従業員のリストラ・解雇も当然伴うでしょうから、経営陣は頭が痛いことだと思います。企業として創業百周年もすぎましたが、これからが生き残りの頑張りどころでして、痛みの伴う決断も必要になりましょう。そんなことを冷静に考える経営者としての道産子社長が居るのでした。
(この巻き、終わり)

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