2008年7月27日日曜日

音楽ファイルも百度で毎度ありぃーの巻き(その三)

それでもって、七月の間はダウンロード月間状態となってしまった。どうしても聴きたいと思った曲を見つけ出してダウンロードする作業は、何と言うかハンティングとかフィッシングと似た狩猟の感覚があって、パソコンは銃とか釣竿の道具、百度のサイトは猟場とか釣り場、曲名の入力は銃の弾込めてとか針に餌付け、検索ボタンのクリックは引き鉄を引くとか釣り糸の投げ込みで、曲名も獲物もヒットすればやったーと言う感じだろう。ただ、獲物はダウンロ-ドが終わるまでは完全に自分が捕獲したものでは無いから、これは仕留めるまでの格闘と言うことなのかもしれない。何せ、ADSLの回線状態によっては、一曲ダウンロードが修了するまで一時間近くも掛かることがあって、じれったいと思うときもある。
それで、ダウンロードしまくった結果、何と八百曲以上の米英ポップスをUSBメモリーに溜め込んだんだが、4MBサイズ一個では足りなくなってもうひとつ買い足してしまった。バンコクのカルフールだと、Apacerのブランド品で500バーツ(千六百円)しないから気にせず買えるけど、8MBとか16MBのものはまだ一般に出回っていない。データをまとめて一本にしておきたいから日本に帰ったときにでも買っておこうと思った。
しかし、ネットの社会では、個人が楽しむ範囲ではダウンロードも違法ではないようなんで、著作権と言う権利は完全に無視された状態にある。今後、現行著作権法の取締りが厳しくなって、勝手にダウンロード出来なくなる可能性も否定は出来ないんだけど、インディーズの歌手とかグループが現れてダウンロードを自由に認める、つまり著作権を放棄するゲリラ的活動も現れるだろう。そうなったら、いたちごっこ状態になって、ネット住民はタダより安いものは無いのが当たり前と踏んで合法的なダウンロードを続けて行くのが落ちだね。
百度を使って改めて思ったんだが、全く検索にヒットしない曲名、歌手やグループ名がいることはいるもんで、きっと著作権を管理するしっかりしたエージェントがいて、ネットにアップロードされた違法データをしらみつぶしに探し出して排除しているんじゃないだろうか?デュラン・デュラン、ポーラ・アブドゥル、ポールマッカトーニー&ウイングスは、なかなか見つからないんだけど、どうしても欲しけりゃCDを探して買えばいいのだし、この場合は印税をちゃんと払った納税者の演技ができることになる。
と言う分けで、著作権の言葉さえ知る由も無い中共の百度さまさまには感謝申し上げている、貧乏社長なのでした。(この巻、おわり)

2008年7月26日土曜日

音楽ファイルも百度で毎度ありぃーの巻き(その二)

しかしだなー、もうひとつ困ったことが起きた。
検索しようにも、歌手・グループや歌曲の正確な名前・タイトルがうろ覚えで思い出せないんですよ。それに、邦題=日本語のタイトルでは原題と違って検索で引っ掛かりそうにもない。邦題は、結構、軽い乗りで原曲とは似ても似つかないタイトルが付いていて、原題を連想するのが難しい。例えば、調べて後で分かったんだが、ドーンの幸せの黄色いリボンは、”Dawn featuring Tony Orlando”が正しいグループ名で、タイトルは”Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree”になっていた。これはまだ原題に忠実な方で、想像の及びも付かない邦題が以外とあった。

シカゴ、長い夜 → Chicago、25 Or 6 To 4
メラニー、悲しみの足音 → Melanie、Stop! I Don't Wanna Hear It Anymore
ギルバート・オサリヴァン、愛のジェット便 → Gilbert O'Sullivan、 I Don't Love You But I Think I Like You (何じゃこれ!!)
モウリーン・マクガヴァン、わたしの勲章 → Maureen McGovern、Even Better Than I Know
Myself モット・ザ・フープル、土曜日の誘惑 → Mott The Hoople、Roll Away The Stone
ジョン・レノン、夢の夢 → John Lennon、#9 Dream
ボブ・シーガー、裏切りのゲーム → Bob Seger、Still The Same

この他、枕詞じゃないんだろうけど、恋の、別れの、愛の、悲しみの、と言ったような単語がタイトルの頭にぞろぞろ出てくる。これじゃ、ひねりにひねった連想ゲームのようで、正式な回答なんて出しようが無い。誰か、70~80年代のポップスベストテンを邦題と原題付きで紹介してくれるサイトとかブログが無いかなーとググってみたんだが、これもまた洒落た趣味人がいるんだねぇー、次のような偉大なサイトが見つかった。

AMERICAN TOP 40 since 1972 presented by K1 Machida
1970's Pops Best 10
CHART DATA INDEX

この内、AMERICAN TOP 40のK1 Machidaさんは、某W大学全米トップ40研究会の会長を歴任した町田さんと言うひとかどの人物で、データを確かな批評家の目で紹介されていたのだが、ヒロクシンさんが開設されているブログの中に”亡き友 町田桂一氏に捧ぐ” の通り、既に3年前にお亡くなりになっているのを読んでしまい驚いてしまった。おいらは、本人が存命で休日はこつこつブログを更新しているばかりと思っていたのに...
それでおいらは、思い切ってこんなコメントを出したんだが、彼にも深い思い出があるらしくて早速に返事を貰ったので、紹介しておきたい。

7. Posted by ぐりぐりももんが 2008年07月06日 10:16
ネットでブログ漁りしたりして休日は過ごしているのですが、そんな時、町田さんのホームページを発見しました。同世代が楽しんだポップスチャートのホームページだったんで、懐かしく感じられ、それと、町田さんのデータを使えばネットで音楽データを簡単に探して見たり聞いたりできるんで楽しんできました。驚いたのですが、町田さんはお亡くなりになっていたんだすね。私はご健在でデータを更新されていらっしゃるとばかり思っていました。きっと、町田さんはブログの中で生きてらっしゃるんですよ。ネットで検索して苦労して見つけて、しかも、その情報がすこぶる貴重なデータとなっていて昔を懐かしめる。ヒロクシンさんのページもこれから拝見させていただきますんで、宜しくお願いします。

8. Posted by ヒロクシン 2008年07月06日 23:16
ぐりぐりももんがさんはじめまして。 
この記事に コメントを頂く事は心の深い部分から嬉しく感じます。
本当にありがとうございます。
>町田さんのデータを使えばネットで音楽データを簡単に探して見たり聞いたりできる
確かに 膨大なデーターなので ここから色々探せますね。記事にも書きましたが、町田さんは「3年後・5年後を目指して」 60年代の曲紹介や 全年代を ひっくるめた総合チャート作成など 構想が広がっていたみたいでそれが未完のままなのは 本当に残念と 言うよりすごく悔しいですが・・・
>ブログの中で生きてらっしゃるのお言葉どおり、”曲への思い入れ、感情むき出しで(笑)”訪問するたび なんか 懐かしい思いがするマッチサイトをこれからも大切にしたいです。
続きます・・・

9. Posted by ヒロクシン 2008年07月06日 23:23ぐリぐりももんが さん
続きです
町田さんのサイトへの訪問数が、今年3月時点でたしか67万台だったのが、今見たら69万台でもうすぐ70万の大台に・・生きているな~(喜)
あと 私のページは ほんと お恥ずかしいですが、これからもよろしくお願い致します。

音楽ファイルも百度で毎度ありぃーの巻き(その一)

タイに来て仕事している日ノ本サラリーマンは、お休みの日は一体何をしているんだろうと、貧乏社長は考えている。そんなの言わずもがなで、プレー代が安いからタイはゴルフを存分に満喫すると言うのが至極穏当な答えだろう。でも、おいらはこれまでしがない貧乏サラリーマンで暮らしてきたから、日本ではゴルフと全く無縁だったのが本音だ。代わりに、体力さえあれば何とかなる山登りだけはやってみた。日本百名山の半分くらいは登っている。北は北海道大雪山の旭岳から南は南アルプスの聖岳まで、夏休みは一週間の行程で野営道具を背中へ担いで縦走してきた。上さんと結婚してからは、自分の好き勝手なこともあんまり出来なくなったけど、一緒にキャンプとかハイキングくらいは楽しんできた。だから、上さんにゴルフの興味があって一緒にプレーするならこっちでやってみようとも思うんだが、そんな気もなさそうなので今更ゴルフしようとも思わない。
上さんから奥さん友達連中の話を聞いていると、毎日、ご主人の帰宅は夜の十時ごろで週末はゴルフに行ってしまい、話し相手はペットのワンチャンと言うような奥さんがいる。きっと、タイのラクチン・贅沢生活があるから我慢して付いて来ているんだろう。それが無かったなら、熟年になって離婚必至だなと思ってしまうんだが、おいらから言わせると旦那も旦那で、生き方がステレオタイプの日本人サラリーマン=仕事中毒企業戦士そのもので、見習う気にもなれない。
結局、バンコクはだだっ広い平野の中にあって山らしい山も見当たらないし、南国は毒蛇もうじゃうじゃいそうなんで、日本のようなハイキングはあきらめることにした。普段の土日は、カルフールやテスコのようなショッピングセンターへ出かけて上さんのポーター(強力)役を努めながら、空いた時間はネットでブログ漁りを楽しんだりというのがお決まりのパターンになってしまったんだが、これに新しくもうひとつの暇つぶしが加わってくれた。
それは、音楽ファイル検索『百度mp3』から、無許可の音楽ファイルをダウンロードしながら聞いて楽しむと言う作業なんだが、結構面白くてここ三週間はこれで楽しんでいる。
おいらの人生で、洋楽のポップスを聴くと言う楽しみは、小学校高学年の頃から夕方の月~金・16:00~17:15の時間帯で北海道放送(HBCラジオ)が放送していた”ベストテンほっかいどう”に熱中したのが始まりだな。その頃は、デーブマンとか言うパーソナリティーが司会をしていて、友達が”はがきリクエスト”で読まれたりなんかしたら学校で話題になったりもしたもんだ。70年代初めの当時を思い出すと、ショッキングブルーのビーナスとか、チェイスの黒い炎とか、ロバータ・フラックのやさしく歌ってとか色々流行っていたんだが、おいらも年取ったせいか最近はもう一度聴いてみたいなーと思うようになった。そんなもん、レコード屋行って70年代ベスト版を買って来ればいいのかもしれないが、ものぐさな性格も災いしてお金出してまでどうしてもと言う気になれない。(今時、レコード屋は無いけどね)
そんな時、衛星放送のNHKテレビニュースで、著作権保護か何かのネタだったと思うんだが、大陸の中国人はほとんどが音楽データをネットからダウンロードして聴いていると流れていたんで、これは巷に聞く有名な「百度(Baidu)」とか言う検索サイトを指しているんじゃないかと思って、百度_mp3でぐぐったら出ましたよ、一発トップでこんな風に出た。

百度MP3——全球最大中文MP3搜索引擎- [ このページを訳す BETA ]
百度mp3搜索网站,提供歌曲,歌手,流行金曲排名搜索,mp3论坛。
mp3.baidu.com/ - 15k - キャッシュ - 関連ページ - メモをとる

ここを訪問すれば、当座に聞きたい音楽データは揃うのだ。 しかし、「本当にダウンロードは合法か?」というのが気になった。色々と調べてみると、百度は著作権不明のmp3データを検索して表示するサーチエンジンに過ぎず、音楽ファイルがこのサイトで掟破りに公開されているわけでもないらしい。要するに、検査結果を見た人が勝手にダウンロードしたことなんで、百度が関知できるはずも無く違法には当たらないらしい。と言うわけで、おいらも、検索してみることにした。

2008年7月13日日曜日

レッドゾーンぶっちぎりの血圧で決算の巻き(その二)

先生は、もういい加減年なんだから食事とか生活習慣に気をつけなさいと注意をしてくれて、血圧を下げる薬を一週間ほど出すから、もう一度診察に来てくださいと言う。この時、血圧は上は150になったり、下は100前後だったりと芳しい状態ではなかったので観念した。

ここで、朕は好奇心の塊なんで、薬のことが気になってしょうがない。その日、仕事から帰宅してもらった薬を調べ始めたんだが、”OlmeTEC 20Mg Tab SVH(7)"とか処方
袋に書いてあった。これは、オルメテックと日本語読みできると踏んだので、ネットのおくすり辞典サイトから検索キーワードを書きこんで検索してみたら、薬はありました、こんな風に紹介している。

・概説→”血圧を下げるお薬です。高血圧症に用います。”(当たり前か?)
・特徴→” アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬と呼ばれる新しいタイプの降圧薬、云々。高血圧の治療に、この系統が処方されることが増えてきました。その他の副作用も比較的少なく、長期維持療法に適します。持続性があるので1日1回の服用で済むのも利点です。”(新しい薬で副作用も少なく、持続力があると言うことは、いい事ずくめではないか!)

とにかく、毎日朝食後に一錠を飲みだしました。そして、上さんが買ってきてくれた血圧計を朝晩に測定してみることになったわけです。この血圧計、エンポリアムのデパートで大枚2千バーツをはたいて購入したもので、スイスのMicrolife社が販売している。ちゃんとホームページもあって、おいらの型式は”BP 3AG1”、マニュアルも、250万人程度しか話さないスロベニア語とかラトビア語のような言語もダウンロードできるように対応してある。さすが、ヨーロッパの会社は、顧客サービスが高いんだなーと変なところで感心してしまう。

朝晩しっかり計測してみたんだが、上は99~137、下が75~93とばらついいてて、その日その日の体調とかに大きく左右されることも分かってきた。本当なら、測定前は静かに5分間着座してから計るのが適切なんだそうだが、出勤前の朝のくそ忙しい時間にそんな流暢なことも出来ない。ちゃちゃっと計るんで呼吸も乱れたりして、高いときがあるんだろう。概ね、薬を飲みだして一週間は、平均すると上が120くらいで下が85くらいになったので、薬の効果がてきめんでごく普通の健常者に戻ったということだろう。

一週間後に再検診で病院を訪問したんだが、先生の見立てでは血圧も正常レベルで問題がないようなので、様子を見るからといって薬一ヶ月月分も処方されてしまった。朕は、食生活とか生活習慣に気をつければ、血圧のコントロールは何とかなりそうな感じがしたので、本音を言うとそんなに薬を貰っても飲む気も無かったんだが、あっちも商売だろうから薬は貰っておくことにした。

でも、それ以降は全く呑んでいない。病状が慢性傾向にある場合は、薬を長く使えば体が依存するようになるのは分かっている。自分の体は自分が知っているし、年を取ると自然と血圧の上がる人は普通なんで、ここは生活態度の改めで乗り切ろうと考えた。それで、10日間が経つんだが下が平均すると87ぐらいになって90を何とか切っている。このまま、無難に年を越せれば高血圧症状を押さえ込んだといえるだろう。

ここで、疑問がひとつ湧いてきた。おいらの場合、病院行った方が緊張して血圧が高く出るんじゃないかと感じている。いい年して神経質なのも困り者だが、こればかりは性分が改まることも無かろう。 白衣高血圧(はくいこうけつあつ)症候群と言って、病院の診察室などで普段よりも高い血圧が計測される現象があるそうだから、自宅で血圧測るのに慣れてしまっておけば、病院で高めに出ることもなくなるだろう。

かくして、健康問題も何とかクリアしたことだし、我輩と上さんの四半期ベースの私的な生活決算は、物質・精神面で収支OKということにしたい。
(この巻、終わり)

レッドゾーンぶっちぎりの血圧で決算の巻き(その一)

タイに来てから3ヶ月が過ぎてしまった。ここで、おいらも経営者の端くれなんだから四半期ベースの私的な生活決算をしておくのが適切なんだと思うんだけど、家の中は上さん任せで、一体全体、生活費にいくら使って、予算内で家計が足りてんだか、赤字なんだか黒字なんだか、あんまりはっきり聞いてもいないんで分からないのである。

ただし、毎月決めた生活費が足りなくなったから、プミポン国王陛下の微笑みをたたえていらっしゃるお札何枚かを追加供給してほしいなどど、愛する大蔵卿からはこれまで一度も要請を受けたことが無いんで、我が”ぐりぐりももんが王国”は健全財政で、王様は日々安泰に安穏に暮らせたのではないかと思っている次第。
内助の功とはこういう事を言うのであろう。後は、おいらに託された会社の切り盛りに専念すればよいわけで、この場を借りて我が最愛の上さんに感謝しておきたいと思います。

ただし、生活決算とは言え、今まで話したことは財政方面の話であって、厚生労働省とか経済産業省など各省庁に関わるトピックは、王様は未だ話していない。総務省絡みは、アパート選びの時にあらまし片付けておいたんで問題ないし、経済産業省はおいらのビジネス自体なんで、これは今までどおりこつこつとあせらずに続けることにしよう。

いや実を言うと問題がひとつ有ったわけですよ、それは厚生労働問題、すなわち朕の健康にあったのです。

ぶっちゃけ、血圧が下のほうで100を切らなくなってしまった。
上の方だって140を超えてしまっている。

ネットの”血圧.com-高血圧に関する総合情報サイト”によると、”高血圧の基準値は、140/90mmHg以上です。”と高らかに宣告されていることから、おいらは正真正銘の成人病患者になってしまった。日本人は、推定で三千万人以上が高血圧に悩んでいるそうで、まさに「国民病」と言える。しかも心臓病と脳卒中の原因がこの症状から来ていると思えば、おいらも天命を知る年齢近くだから年には違いなく、自己の健康管理は絶対に必要と考え直した。

本当を言うと、赴任前から色々と忙しくてストレスや疲れが溜まっていたのも事実で、日本の人間ドックでも血圧測定で100を切らずに再測定で96まで落として勘弁してもらったり、こっちに来て直後に、労働許可証取得のために健康診断に行ったら、血圧が100のまんまでこれはやばいかなーと感じていた。こりゃ何とかせんといけないと真剣に考えるようになったのは、この間の労働許可証延長の再検診で驚愕の102が出て、ドクターストップで許可証を発行できないと医者から驚かされたりしたせいもある。

結局、我が王宮”ひまわりホーム”の近くにある、日本語の通訳付きで有名なサマーチベット病院に、早速出かけてみた。もちろん、厚生労働大臣の上さんも一緒である。診察してくれたピブーン先生は、日本語ぺらぺらで意思の疎通に何の障害も無い。しかも、朝七時半から診てくれてサービス満点だから、高額医療費も民間保険でカバーできたことだし気にしないでおこう。
(その一、終わり)

2008年7月6日日曜日

我が輩は、犬である。

我が輩は、犬である。


名前は未だ無い。でも、おいらのご主人様のポン人社長が、会社の名前をもじってテツ一号と呼んでいるらしい。なぜ一号かって、この会社には仲間が3人、失礼、3匹いるからなんだ。

おいら、年齢も分からないけど、この工場にふらふら迷い込んでご飯をもらう様になってからだいぶ時間が経つんだと思う。おいらの仲間もみんな境遇は似たり寄ったりだが、食堂で余った残飯もらいながら暮らすのも、そこら辺の路地で野良犬人生を送るよりは上等だと思っているんだ。

一匹は、ガードマンのおじさんが大事にしてるんだそうで、毛づやがきれいだね。おいら、ガキのころからろくな食事もにあり付けなかったんで、最近は体調がいまいちなんだ。毛もパサパサしてきれいじゃなくなったし、片目が思うように見えなくなってきた。ご主人様が言うには、ドッグイヤーと言って、おいらたちの一年を人間の7~8年に例えるから、おいらもかなり年なのなかなーと思うようになったけど、会社の人たちが番犬扱いしてくれて、とっても感謝してるんだ。おいらたち、昼間はこれと言って仕事も無いんだが、夜は工場の敷地の中へ開放してくれるんで、勝手に3匹で自警団を組んでガードマンのおじさんの手伝いをしていると言う分けなんだ。だから、昼間はこうやって玄関の前でねそべったり、スコールが来る前には工場の中に逃げ込んで雨宿りもさせてもらってる。誰も、おいらたちを怒ったり追い払ったりしないから優雅な生活と言えばそうかもしれない。


ご主人の社長が言うには、おんなじ合弁でも中国の工場ではガードマンが飼っていた犬を大きく育ったからと言って、従業員が食べてしまったんだそうな。ドッグフードを毎日上げて可愛がっていた日本人の工場長さんが、突然いなくなったんで心配で探したら、そんなことを平然と言われて意気消沈したんだって。こっちは、仏教の国だから殺生は好まないだろうから、安心だな。

そう言えば、総務課長のミンさんが、おいらたちに社員証を作ってくれて年末にはドッグフードのボーナスを振舞ってくれるって言ってくれたけど、今から楽しみだね。

おいらたちは、本当に幸せだと思います。

年がら年中夏だらけのバンコクは常温核融合と同じの巻き(その三)

おいら思うんだけど、タイはお気楽に暮らそうと思うと、こんなにサバーイサバーイな良い国は無いんじゃないだろうか!

特にお百姓さんが仕事をするには、年中暑くて、雨も多くて、そうかと言って台風・洪水のような災害は少なくて、とっても好都合な国なわけだと思う。お米が一年で四回取れる四毛作ができたり、家の周りに椰子の木やバナナの根株を植えておいて放り出しておけば、その内に実が成ってくれて、あくせく働か なくても何とか食っていけると言うところが、ものぐさで上昇志向の薄い人間には好都合じゃなかろうかと思うのだ。

そうは、言っても、食い物だけは簡単に手に入っても、着る物とか身の周りの所帯道具なんかは必要になる。だから、作物を売って現金の収入を得て、必要に応じて買い物すると言う行為は、現代にあってはタイの農家も当たり前とは思うね。しかも、タイのお百姓さんも最近はごく普通に耕運機を使うようになったし、どんな田舎に行っても電灯・テレビとかガスコンロは当たり前なんだから、文明の利器を使いこなすためのエネルギーに対する依存はかなり進んでいている。まあ、それだけタイの人たちの暮らし向きが向上したのだと、考えれば良い分けなんだけど、最近は石油の価格が高騰してこの負担が日々の生計に重くのしかかるようになって来て、便利な生活に水を差すようになって来たのは事実だ。

ここで、エネルギーを考えてみる。(常温核融合に落としたいわけ。)

おいらたち、エネルギー、エネルギーって普通に言葉を使っているけど、本当に意味が分かって使ってるんだろうかって思う時がある。簡単に言うと、エネルギーは「物体が持つ“仕事”をする能力」のことを差していて、電気エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、光のエネルギーなどたくさんの種類があるらしい。
タイのお百姓さんが大事に育てる作物には、光の恵み=光エネルギーが一番重要だ。赤道に近いから、何時もお天道様は、季節に応じて傾くことなく、真上 を通過して、さんさんと光を万物に降り注いでくれる。しかもタダ、これが重要だ。日中は気温がぐーんと上がるし、植物の光合成も充分にはかどる。おいらみたいに出稼ぎに来ている日本人=外人にとっては絶えられなくなるんだが、タダより安いものは無いし、自然の恵みと思って我慢することも出来る。この他に、水田や畑を耕す上で耕耘機を動かすために燃料を使う必要があるんだけれど、これはエンジンの中で燃料を燃やしてその爆発力を運動に変える工程があり、熱エネルギーから運動エネルギーの変換になる。これは、金が掛かるね、今ならリッター40バーツを突破してしまったようなディーゼルを買わなければ成らない。作物を換金するために販売する場合、その燃料の費用を上乗せして元を取らなきゃならないから、このようなコスト計上は必要だろう。だから、値段が上昇するようになってしまう分けだ。

ではなぜ、エネルギーを作り出す素の石油は、値段が付いて上昇するんだろう。光エネルギーなら、タダだけどね。光は勝手に注いでくれるけど、石油は掘らないと地中から汲み上げられない上に、工場で加工してガソリンとか軽油とかに分留・精製するためにカネと時間が掛かってしまう。しかも、掘り尽くしてしまうかも知れない恐れがあるから市場に不安感が出てきて、買占めのような現象がおきて価格が跳ね上がってしまう。今の社会、エネルギーを作りだす原料は、薪や炭に始まり、石油、石炭、ガス、原子力までと千差万別なんだけど、お金を払って買わないといけないのは共通している。

この内、石油は動力エネルギー源、石炭・原子力は電気エネルギー源、ガスは熱源、のようなエネルギーの使い分けになるだろう。光がタダなのにエネルギー源として使いづらいのは、雨や曇りでお天気しだいでは安定して取り出せないし、他のエネルギーに転換させるとき金がより多く掛かってしまい、効率が悪いことにあると思う。例えば、どんなに大型の太陽電池パネルで金を掛けて作って発電させても、生み出せる電気エネルギーの量・コストを比較すれば、石炭・原子力の方がはるかに安い。唯一、タダのエネルギーで価格が見合いそうなのが自然の力に頼った水力・風力なんだが、天候・季節の風任せ・雨任せなんで供給が安定しないし、量も小さい。

結局、エネルギーを作り出すには、簡単・便利に入手でき、蓄積でき、しかも安い原料と言うのが手っ取り早く使われていて、それとエネルギーに変換しやすくて使いやすい方法を効率的に経済的に組み合わせようとして、人間様はこれまで知恵を絞って来たんじゃないかと思うわけだ。

単純に言えば、原料が手っ取り早く入手・使えなくなれば、その値段は上昇する。今の石油価格の高騰がこれにあてはまるんだが、これだけ原油価格が上がれば、これまで価格的に見合わなかった代替できる燃料のコストも見直され、実用化してくる。例えば、農作物を原料としたエタノール、深海に眠るメタンハイドレード、原油を吸い込んでいて処理に金のかかる油母頁岩なんかがそうだ。こんな、イタチごっこが人類の歴史で繰り返されてきただけじゃないのだろうか。おいら、そう思うんだ。

森林を伐採しすぎて木炭が無くなって石炭に置き換わる、石炭より燃焼力が高くて液体だから持ち運びの簡単な石油に置き換わる、産油国に原油価格を吊り上げられたんで国産資源の安価な天然ガスに置き換わる、などなど....

それでは、常温核融合は今までの説明からすると、エネルギー源としてどの位置づけにあるんだろうか?

核融合の燃料となる重水素と三重水素は資源として地球上に豊富にあるから、もし制御された核融合が実現できれば、人類は恒久的なエネルギーを今すぐにでも得ることができるなんて、夢のような錬金術的な表現をする人もいる。おそらく、理論的に裏づけがなされて採算の取れるエネルギー源になるには、はるか遠い先のことだろうとおいらは思わざるを得ない。なぜなら、阪大荒田名誉教授の公開実験は、再現性の高い追試可能な実験を紹介することに主眼が置かれていたのだろうと思うからだ。本当に研究は始まったばかりなのではないだろうか?

固体核融合と言う中立的な学術用語が日本学士院でも堂々と使われているように、この研究に真面目に取り組むこと自体は文句の付けようがないと思う。実用的で社会の利益となるような手法・技術が確立され、それが全人類にとって安いエネルギー源の調達につながるのであれば、誰も文句は言えなくなるだろう。

みなさんは、どう思われますか?
もし、固体核融合の研究を邪魔して現在のエネルギー覇権・利益を維持したいと考える国家・特定の権益組織があると言うのなら、陰謀論を研究していただくことになりますが、おいら、次のニュースの方がほのぼのしてタイ庶民の偽らざる生活防衛なんだと考えております。

<燃油高騰で水牛が見直される>
燃油高騰を受け、農家の間で「水牛」の価値が見直されている。かつて、タイの農業にとり水牛は欠かせない労働力だった。しかし、この数十年、耕運機の急速な普及により、その役割は減少していた。東北部ナコンラチャシマ県ムアン郡内のキャッサバ畑では、燃料のかかる耕耘機よりも便利ということで、水牛の人気が急上昇。6頭の水牛を飼うチュンポンさんは水牛の貸し出しを始め、今では2週間待ちとなるほど盛況という。貸し出し料金は、1ライ(1600平方メートル)の耕作で120バーツ。仮に耕耘機を使うとすると、燃料費は250バーツとなるため、コストはかなり節約できる。また、耕運機では入れない細いうねも耕せることから、スピードは遅くても、水牛利用を検討する農家が増えているとのことだ。( 記事:バンコク週報 【社会】 06/11)
(この巻、おわり)