2008年7月6日日曜日

年がら年中夏だらけのバンコクは常温核融合と同じの巻き(その三)

おいら思うんだけど、タイはお気楽に暮らそうと思うと、こんなにサバーイサバーイな良い国は無いんじゃないだろうか!

特にお百姓さんが仕事をするには、年中暑くて、雨も多くて、そうかと言って台風・洪水のような災害は少なくて、とっても好都合な国なわけだと思う。お米が一年で四回取れる四毛作ができたり、家の周りに椰子の木やバナナの根株を植えておいて放り出しておけば、その内に実が成ってくれて、あくせく働か なくても何とか食っていけると言うところが、ものぐさで上昇志向の薄い人間には好都合じゃなかろうかと思うのだ。

そうは、言っても、食い物だけは簡単に手に入っても、着る物とか身の周りの所帯道具なんかは必要になる。だから、作物を売って現金の収入を得て、必要に応じて買い物すると言う行為は、現代にあってはタイの農家も当たり前とは思うね。しかも、タイのお百姓さんも最近はごく普通に耕運機を使うようになったし、どんな田舎に行っても電灯・テレビとかガスコンロは当たり前なんだから、文明の利器を使いこなすためのエネルギーに対する依存はかなり進んでいている。まあ、それだけタイの人たちの暮らし向きが向上したのだと、考えれば良い分けなんだけど、最近は石油の価格が高騰してこの負担が日々の生計に重くのしかかるようになって来て、便利な生活に水を差すようになって来たのは事実だ。

ここで、エネルギーを考えてみる。(常温核融合に落としたいわけ。)

おいらたち、エネルギー、エネルギーって普通に言葉を使っているけど、本当に意味が分かって使ってるんだろうかって思う時がある。簡単に言うと、エネルギーは「物体が持つ“仕事”をする能力」のことを差していて、電気エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、化学エネルギー、光のエネルギーなどたくさんの種類があるらしい。
タイのお百姓さんが大事に育てる作物には、光の恵み=光エネルギーが一番重要だ。赤道に近いから、何時もお天道様は、季節に応じて傾くことなく、真上 を通過して、さんさんと光を万物に降り注いでくれる。しかもタダ、これが重要だ。日中は気温がぐーんと上がるし、植物の光合成も充分にはかどる。おいらみたいに出稼ぎに来ている日本人=外人にとっては絶えられなくなるんだが、タダより安いものは無いし、自然の恵みと思って我慢することも出来る。この他に、水田や畑を耕す上で耕耘機を動かすために燃料を使う必要があるんだけれど、これはエンジンの中で燃料を燃やしてその爆発力を運動に変える工程があり、熱エネルギーから運動エネルギーの変換になる。これは、金が掛かるね、今ならリッター40バーツを突破してしまったようなディーゼルを買わなければ成らない。作物を換金するために販売する場合、その燃料の費用を上乗せして元を取らなきゃならないから、このようなコスト計上は必要だろう。だから、値段が上昇するようになってしまう分けだ。

ではなぜ、エネルギーを作り出す素の石油は、値段が付いて上昇するんだろう。光エネルギーなら、タダだけどね。光は勝手に注いでくれるけど、石油は掘らないと地中から汲み上げられない上に、工場で加工してガソリンとか軽油とかに分留・精製するためにカネと時間が掛かってしまう。しかも、掘り尽くしてしまうかも知れない恐れがあるから市場に不安感が出てきて、買占めのような現象がおきて価格が跳ね上がってしまう。今の社会、エネルギーを作りだす原料は、薪や炭に始まり、石油、石炭、ガス、原子力までと千差万別なんだけど、お金を払って買わないといけないのは共通している。

この内、石油は動力エネルギー源、石炭・原子力は電気エネルギー源、ガスは熱源、のようなエネルギーの使い分けになるだろう。光がタダなのにエネルギー源として使いづらいのは、雨や曇りでお天気しだいでは安定して取り出せないし、他のエネルギーに転換させるとき金がより多く掛かってしまい、効率が悪いことにあると思う。例えば、どんなに大型の太陽電池パネルで金を掛けて作って発電させても、生み出せる電気エネルギーの量・コストを比較すれば、石炭・原子力の方がはるかに安い。唯一、タダのエネルギーで価格が見合いそうなのが自然の力に頼った水力・風力なんだが、天候・季節の風任せ・雨任せなんで供給が安定しないし、量も小さい。

結局、エネルギーを作り出すには、簡単・便利に入手でき、蓄積でき、しかも安い原料と言うのが手っ取り早く使われていて、それとエネルギーに変換しやすくて使いやすい方法を効率的に経済的に組み合わせようとして、人間様はこれまで知恵を絞って来たんじゃないかと思うわけだ。

単純に言えば、原料が手っ取り早く入手・使えなくなれば、その値段は上昇する。今の石油価格の高騰がこれにあてはまるんだが、これだけ原油価格が上がれば、これまで価格的に見合わなかった代替できる燃料のコストも見直され、実用化してくる。例えば、農作物を原料としたエタノール、深海に眠るメタンハイドレード、原油を吸い込んでいて処理に金のかかる油母頁岩なんかがそうだ。こんな、イタチごっこが人類の歴史で繰り返されてきただけじゃないのだろうか。おいら、そう思うんだ。

森林を伐採しすぎて木炭が無くなって石炭に置き換わる、石炭より燃焼力が高くて液体だから持ち運びの簡単な石油に置き換わる、産油国に原油価格を吊り上げられたんで国産資源の安価な天然ガスに置き換わる、などなど....

それでは、常温核融合は今までの説明からすると、エネルギー源としてどの位置づけにあるんだろうか?

核融合の燃料となる重水素と三重水素は資源として地球上に豊富にあるから、もし制御された核融合が実現できれば、人類は恒久的なエネルギーを今すぐにでも得ることができるなんて、夢のような錬金術的な表現をする人もいる。おそらく、理論的に裏づけがなされて採算の取れるエネルギー源になるには、はるか遠い先のことだろうとおいらは思わざるを得ない。なぜなら、阪大荒田名誉教授の公開実験は、再現性の高い追試可能な実験を紹介することに主眼が置かれていたのだろうと思うからだ。本当に研究は始まったばかりなのではないだろうか?

固体核融合と言う中立的な学術用語が日本学士院でも堂々と使われているように、この研究に真面目に取り組むこと自体は文句の付けようがないと思う。実用的で社会の利益となるような手法・技術が確立され、それが全人類にとって安いエネルギー源の調達につながるのであれば、誰も文句は言えなくなるだろう。

みなさんは、どう思われますか?
もし、固体核融合の研究を邪魔して現在のエネルギー覇権・利益を維持したいと考える国家・特定の権益組織があると言うのなら、陰謀論を研究していただくことになりますが、おいら、次のニュースの方がほのぼのしてタイ庶民の偽らざる生活防衛なんだと考えております。

<燃油高騰で水牛が見直される>
燃油高騰を受け、農家の間で「水牛」の価値が見直されている。かつて、タイの農業にとり水牛は欠かせない労働力だった。しかし、この数十年、耕運機の急速な普及により、その役割は減少していた。東北部ナコンラチャシマ県ムアン郡内のキャッサバ畑では、燃料のかかる耕耘機よりも便利ということで、水牛の人気が急上昇。6頭の水牛を飼うチュンポンさんは水牛の貸し出しを始め、今では2週間待ちとなるほど盛況という。貸し出し料金は、1ライ(1600平方メートル)の耕作で120バーツ。仮に耕耘機を使うとすると、燃料費は250バーツとなるため、コストはかなり節約できる。また、耕運機では入れない細いうねも耕せることから、スピードは遅くても、水牛利用を検討する農家が増えているとのことだ。( 記事:バンコク週報 【社会】 06/11)
(この巻、おわり)

0 件のコメント: