2011年7月28日木曜日

たった十日違いの生まれなのにの巻き

四十年前、『天国にいちばん近い島』と言う旅行記を読んだことがあります。
五歳年上の姉が持っていた文庫本を借りたのです。
作者は、森村桂さんと言う女性でした。

懐かしいと思われた方もおられるでしょう。

60年代から70年代にかけて、当時はかなりの売れっ子作家でした。
この作品は、当時としては珍しい女性の一人旅を描いています。
しかも、ニューカレドニアと言う、聞いたことも無いような海外へ旅をするのです。

まさに、大冒険の旅行でして、自分も海外にあこがれました。
しかも、当時は円を外貨に換えるのが厳しく制限されていた時代です。
年一回の旅行で、持ち出しは500ドルですから超貧乏旅行でしょう。

そんな時代、二十代の女性が南国へぷらり旅立ったのでした。
若いからこそ、思い切って行動できたのです。
そんな決断をうらやましく思いさえしました。

まあ、この作品は海外旅行ブームのさきがけになったとも思います。
ただ、後年、桂さんは精神を病んで自らの命を絶ってしまいました。
あの南国の旅行を描いていたように、心は自由に羽ばたけなかったのでしょうか。

そんなことを、何気なくサムイ島のロッジで思い出しました。
南国の気ままさと、束縛のなさは、心に安らぎを与えてくれます。
もう天命を知る歳ですから、自分も老いた後のことが大切になりました。

だから、”天国にいちばん近い島”の例え通りなのです。
このフレーズが心にさざなみとして押し寄せてきました。


一方、わずか十日ほどの生年月日の違いで、水森亜土さんもおられます。
漫画家、歌手などマルチタレントでして、現在もご活躍中です。
既に古希を迎えられたんじゃないでしょうか。

未だにサロペットとふんわりベレー帽がお似合いです。
若い人なら、スーパーマリオのキャラが浮かぶかもしれません。
でも、元祖はこの方でして、年配の人間なら亜土さんです。

他には、舌足らずな声の歌手としてのイメージもありました。

ひみつのあっ子ちゃんの”すきすきソング”は記憶にこびりついています。
みんなの歌では、”南の島のハメハメハ大王”を歌いました。
本当に息の長い、マルチなアーティストだと言えるのではないでしょうか。


と言うわけで、お二人の人生の歩み方は、同じ頃に生まれながら全く異なってしまいました。自らがその一生に終止符を打ったのと、他方では、元気に生涯現役を貫いていらっしゃいます。二人を比べながら、サラリーマン人生も残り少ない中、自分のこれからを思いやらずにはいられません。そして、自分なりの道筋だけは、ちゃんと作っておかねばならないと思った、道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)

おまけ:
森村桂さんは、1940年1月3日うまれ。2004年9月27日に逝去されました。
一方、水森亜土さんは、1939年12月23日生まれだそうです。
この投稿は、道産子社長のiza版同名ブログの投稿に加筆してみました。

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