五歳年上の姉が持っていた文庫本を借りたのです。
作者は、森村桂さんと言う女性でした。
懐かしいと思われた方もおられるでしょう。
60年代から70年代にかけて、当時はかなりの売れっ子作家でした。
この作品は、当時としては珍しい女性の一人旅を描いています。
しかも、ニューカレドニアと言う、聞いたことも無いような海外へ旅をするのです。
まさに、大冒険の旅行でして、自分も海外にあこがれました。
しかも、当時は円を外貨に換えるのが厳しく制限されていた時代です。
年一回の旅行で、持ち出しは500ドルですから超貧乏旅行でしょう。
そんな時代、二十代の女性が南国へぷらり旅立ったのでした。
若いからこそ、思い切って行動できたのです。
そんな決断をうらやましく思いさえしました。
まあ、この作品は海外旅行ブームのさきがけになったとも思います。
ただ、後年、桂さんは精神を病んで自らの命を絶ってしまいました。
あの南国の旅行を描いていたように、心は自由に羽ばたけなかったのでしょうか。
そんなことを、何気なくサムイ島のロッジで思い出しました。
南国の気ままさと、束縛のなさは、心に安らぎを与えてくれます。
もう天命を知る歳ですから、自分も老いた後のことが大切になりました。
だから、”天国にいちばん近い島”の例え通りなのです。
このフレーズが心にさざなみとして押し寄せてきました。
一方、わずか十日ほどの生年月日の違いで、水森亜土さんもおられます。
漫画家、歌手などマルチタレントでして、現在もご活躍中です。
既に古希を迎えられたんじゃないでしょうか。
未だにサロペットとふんわりベレー帽がお似合いです。
若い人なら、スーパーマリオのキャラが浮かぶかもしれません。
でも、元祖はこの方でして、年配の人間なら亜土さんです。
他には、舌足らずな声の歌手としてのイメージもありました。
ひみつのあっ子ちゃんの”すきすきソング”は記憶にこびりついています。
みんなの歌では、”南の島のハメハメハ大王”を歌いました。
本当に息の長い、マルチなアーティストだと言えるのではないでしょうか。
と言うわけで、お二人の人生の歩み方は、同じ頃に生まれながら全く異なってしまいました。自らがその一生に終止符を打ったのと、他方では、元気に生涯現役を貫いていらっしゃいます。二人を比べながら、サラリーマン人生も残り少ない中、自分のこれからを思いやらずにはいられません。そして、自分なりの道筋だけは、ちゃんと作っておかねばならないと思った、道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)
おまけ:
森村桂さんは、1940年1月3日うまれ。2004年9月27日に逝去されました。
一方、水森亜土さんは、1939年12月23日生まれだそうです。
この投稿は、道産子社長のiza版同名ブログの投稿に加筆してみました。
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