今朝、チャンネル3のテレビニュースを見ていました。
画面には泣き叫ぶおばさんが映し出されています。
その嘆き方は尋常でなく、最愛の人を突然失ったかのようでした。
キャスターが状況を説明しています。
よくは分かりませんが、ロッ(車)と多用しているので交通事故でしょう。
上さんも興味があったらしく、じっと聞き入っています。
上さんはタイ語のヒアリングができます。
アナウンサーが早口でしゃべっても大まかに意味を把握できます。
自分はからきし駄目ですが、こう言う時頼りにしてしまいます。
それで、ニュースはやはり交通事故とのことでした。
犠牲者は、おばさんの姉と妹らしい。
事故は、自動車の停車中に品物を売って歩く、行商の最中に起きたようです。
イサーンのコラートから稼ぎにバンコクまで来たと話しています。
地元でお金に困っていたので、職を見つけに上京するのはよくある話です。
ただ、今回の事故は悲惨な結末ゆえに哀れを誘います。
この手の行商は、いつも危険と背中合わせにあるのです。
渋滞しやすい交差点で、車が停まっている車列の中を売り歩きます。
よい香りのする花輪だったり、新聞だったり、果ては祝日に小さなタイの国旗を売ったりします。
このおばさんも、多分、そんな商売をしていたのだろうと思いました。
そして、加害者はなんと公共輸送のバスでした。
バスは、民間委託も含めてBMTA(バンコク大量輸送公社)が運営しています。
その中でも、オレンジ色の510番エアコンバスがその二人をはねたようです。
交通量の多い道路みたいで、事故現場には野次馬が群がっていました。
一瞬にして親族を失ったのですから、あまりに悲惨すぎて同情せずにはいられません。
後で、バスの運転手が警察で尋問を受けている風景が流されました。
淡々としていますが、事故の補償はいくらになるのか気になりました。
一般に、タイでは任意の自動車保険であれば、死亡は最大三十万バーツです。
はかないほど安く、日本円にして百万円に満たないのです。
ただ、日給が六百円に満たないお国柄ゆえ、五年分の賃金です。
これを安いか高いか、どう見るかは意見が分かれるでしょう。
まあ、日本人なら納得がいかなくても、地元の人にとっては妥当なのかもしれません。
と言うわけで、我が社のメンテ要員も、最近、交通事故を起こされました。三人の若者が、夜間にバイクの暴走運転で、対向車線からはみ出してぶつかって来たのだそうです。警察の判断ではバイク側が全面的に悪いことになりましたが、こちらとしても後味の悪い話でしたので、三十万バーツの補償に五万バーツの気持ち加えて払うことにしました。そんな記憶もありましたので、今朝のニュースは実に後味の悪いものになった道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)
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