バンコク、上海、ソウルなどから現地工場の社長が参集したわけです。
朝の十時から始まって、昼食をはさんで夕方五時まで開かれました。
いやはや、長いマラソン会議です。
もちろん、各国の社長が業績と今後三年間の経営方針をします。
発表時間が十分と限られましたが、質疑応答に時間が費やされました。
私の番も回ってきましたけど、言いたいことはとにかく言わせていただきました。
急激な円高で、日本から購入する部材の値上がりはかなりの打撃です。
でも、日本側が扱う輸出製品の出荷は順調で、生産基地の役割に応えています。
問題は、三年間をどうやって会社を経営していくのか、です。
会社自体の経営基盤に問題はまったくありません。
このため、あるがままの現状を維持し発展させる方針を、先ず説明します。
毎年、7%程度の売り上げ増とチョット控えめな発表をしました。
あまり、大法螺を吹くと、後任の社長がノルマのきつさに音を上げるでしょう。
現実的な目標値もあってか、異論を挟む出席者もいませんでした。
これに続けて、新しいビジネスモデルの発表をおこないました。
まず、有力な顧客に対する割賦販売制度の導入です。
これは、単なる月賦ではなくて、期間中に機器のメンテナンスをパックで提供します。
特に面白かったのは、メンタルセラピーをするアザラシロボットのパロ君です。
メンテナンスの説明が面白くて、それが振るっています。
パロを飼いはじめてから1年後と2年後を目処にパロ診断(動作確認、内部検査)、バッテリー交換、毛皮のクリーニングを無償で2度行います。
要するに、ペット並みの扱いで説明されている面倒の見方らしい。
こちらは、ユーザーの機器利用がかなりハードでして、もう少しメンテの頻度が高くなるかもしれません。
製品や業界の違いと客層の条件もありますから、交渉によって契約を結ぶことにしました。
次に、市場戦略です。
実は、昨年、ミャンマーの市場開拓に成功しました。
これまで経済制裁を受けてきた国ですが、民政移管により自由化が進みました。
経済の領域でも、市場開放が急ピッチに進行しています。
当社の場合ですが、こう言った情報をいち早くキャッチできました。
何しろ、代理店の出先が撤退せずにヤンゴンに残してあったのです。
このタイミングがドンピシャでして、手ごわい中国メーカーより有利な営業ができました。
これで、ベトナム~カンボジア~タイ~ミャンマーまで市場をつなぐのに成功しました。
次は、バングラディシュへのサンプル輸出も決まっています。
こうなると、まさにアジアハイウェイ1号線(AH1)の道筋どおりです。
つまり、西へ西へ市場を拡大して営業の版図を広げるのです。
そんな大風呂敷を言ってしまいましたが、結構、受けも好評でした。
ですので、勝手に「アジアハイウェイ作戦」と名づけさせていただきました。
というわけで、全社的な経営方針を策定するためのフリートーキングという議題が付け加えられていました。私がさんざん、日本側に盾突いたわけでもないでしょうが、今後三年間の戦略作りが確実になりました。生産基地の移転も含めて、総合的な検討・判断がなされることになって、ホッと胸をなでおろした道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)
お断り:
日本滞在中にアップしましたので、原稿の仕上げが杜撰になっておりました。
バンコクに戻って手直ししましたので、多少は読みやすくなっております。
お詫びいたします。
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