2010年9月23日木曜日

タイは性悪説を根源とする倫理観の巻き

来月から警備会社を切り替えることにしました。

二年前の赴任当時から常駐していたガードマンたちです。
顔馴染みになっていたし、ちょっと残念な気もします。
ですが、この馴れ合いと言う魔物が、企業経営を壊していくものです。

車で出社、帰社するときは、必ず敬礼をしてくれました。
社旗、タイと日本の国旗も欠かさずに掲揚してくれます。
しかも、時間があれば構内道路の清掃もしてくれたのです。

ですから、自分としては、この警備会社に満足していました。

しかしですよ。
恰幅の良いガードマンさんは、いつも、清掃作業が半袖の下着姿でした。
だらしないとは感づいていいました。
ただ、暑い国ゆえ、致し方の無いことと容認していたのです。

ただ、こういう雰囲気が事態を引き起こす前兆と気づくべきでした。

会社に良くも悪くも溶け込みすぎたのです。
結局、社員と度を越して親しくなっていた可能性が浮上しました。
馴れ合いで、顔パスまがいの習慣が横行していました。

タイの人は、よく言えばおうようで、拘らない人が多いのです。
会社の備品も、ちょっとぐらいなら良いだろうとか、安易に判断します。
ですから、つい失敬とばかりの感覚で、ちょろまかします。

まあ、消しゴム一個、鉛筆一本なら、安いですから取り締まっても経費の無駄でしょう。
これは、大目に見ています。
ですが、工場で在庫する電子基板や、修理に使うICなどは違います。
値も張りますので、部品商へ転売すればちょっとした金儲けです。

これは窃盗に違いないのです。
違法行為は、会社としても防がなくてはなりません。
このためにガードマンがあるといっても良いはずです。

ガードマンは、出社・帰社に当たって、正門で持ち物検査を行います。
女子職員ならバックの中を開けてもらいます。
バイク通勤者なら、シートを上げて小物入れを開けさせます。
自家用車通勤者も、トランクを開けなければなりません。

こうして、備品・資材を持ち出さぬように歯止めを掛けて来ました。

でも、その義務の履行が、最近はおなざりになっていたのかもしれません。
会計課の十年選手の女性職員に、良からぬ噂があがりました。
値の張る電子基板をこっそり社外に運び出しているのと言うのです

しかも、一人だけではありません。
どうも、社内に結託して横流しをする連中がいたらしい。
基板修理の部署で、交換パーツの発注頻度が早すぎました。

細かくチャックをしているわけではありません。
ですが、支払いの小切手にサインするとき、おかしく感じたのです。
それに、辞めた女子社員の勤務態度が微妙に引っかかりました。

目つきと言うのでしょうか。
何気ないしぐさですが、挙動に不審な点を感じました。
これは、永年タイ人と付き合って来ると分かります。
本人が知らずとも、何となくいやらしさを見せるのです。

と言うわけで、この女子社員は、突然退職して故郷のピサヌロークへ帰りました。
それに呼応して、あの修理部署のチーフにも辞めてもらいました。
日本ではありえないことですが、タイでは日常茶飯事です。
ちょっとでも変に思ったら、機敏に善処しなければならない。
それを怠ると、社内モラルが崩壊してしまうと、反省する道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)

6 件のコメント:

kapiraja さんのコメント...

こんにちは。kapirajaです。

先日は、当方のブログにコメントをいただき、ありがとうございました。

こちらのブログも読ませていただきましたが、とても自分のような底辺をさまよっている人間とは違う方のようで、そんな方からコメントをいただいて恐縮しております。

ところで、今回のお話は色々、考えさせられました。

自分はまだ、タイの人と深い付き合いはしたことがありませんが、実際、仕事でもプライベートでも違う国の人と接していくとは難しそうですね。

でも、今回のぐりりんさんの対応がやっぱりベストだったのでは、と自分も思います。偉そうな事はいえませんが・・・。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

Kapirajaさんへ、

タイで仕事勤めをしていますと、日本では考えられないようなトラブルが発生します。

この記事以外にも、開発したソフトを個人で勝手に販売していた当社エンジニアーとか、株主の会社では、二百万バーツの小切手を持ち逃げした経理部員が出ました。

現地の給与水準を考えますと、それなりの高額になりますので、ついつい手を出してしまうのだろうと思います。それでも、最近は、地元の生活水準が向上してきましたので、昔ほどひどくは無くなったのが幸いです。

それに加えて、このような事態の経過を黙って現地人だけで処理してしまう傾向もあります。こちらが、要注意して観察する必要もあるわけでして、馴れないと気が滅入りやすいものです。

でも、私はタイが好きですよ。

これぐらいの悪さだなら、他国に比べても未だマシでしょう。郷に入りては郷に従えなのです。

ところで、Kapirajaさんのブログは、地元音楽好きの私にとって、ありがたいブログですね。そちらの情報を仕入れては、オンヌットにあるロータスのCD屋でCDを購入しています。

ですので、今後ともよろしくお願いします。

そむちゃい さんのコメント...

初めてカキコさせていただきます。

わたしも以前、バンコクで小さな会社をやっていました。社員5人なので警備などはいませんでしたが、やっぱりやられました。

在庫を持ち出して、勝手に取引先に売っていたんです。伝票の管理をもっと厳密にしていれば、防げたのですが、事務方はわたしとタイ人の女の子のみ。タイ人に任せて、見つけても言ってくれません。仲間を裏切ることもしたくないようです。

結局、自分が全てをチェックするはめになりました。小さな会社にもその辺まで任せられるサポートが必要ですね。

とよこ さんのコメント...

日本の場合、小規模な店で野菜や惣菜を売る社長(店主)が、従業員に残り物を持って帰らせる、あるいやあらかじめ従業員の分を取っておくという、まださほど(会社も個人も)裕福な時代にできあがった、良い意味のモチベーションアップの方法がありました。

でもそんなお店も、今では少なくなり、横領と呼ばれるようになりました。それが当然なのですが、今まで「おまけ」というモチベーションがあったから働いていた従業員の態度が、明らかに変わっていくのが分かります。

大根1本でも会社の投資だ=お金からみた在庫という社長の気持ち(意識)と、大根余っているからいいじゃない=モノからみた在庫という気持ち(意識)が入り混じっているんですよね。

私は今でも、若い人への研修会では、「製品(商品)=在庫=モノでもありカネでもある」とお話しています。もちろん横領や自社製品の万引き防止の意味も含めています。
しかしこの感覚を身につけるのは時間がかかりますね~。
 

ぐりぐりももんが さんのコメント...

そむちゃいさんへ、

当ブログへお越し下さり有難うございます。

タイで会社を経営して分かるのですが、在庫管理を怠るとちょろまかしの癖がはびこるものです。

しかも、一般的にタイ人の計算能力は?マークの付く人も多くて、15年前に初めてタイに仕事に来た時、棚札表に書かせた入出庫の加減計算が全然でたらめだったのを見て、絶望感を味わいました。

でも、最近は計算能力が上がりましたよ。後は、管理体制をどのように厳密にするかなんです。

ですから、信頼できる副官のような目付けのタイ人がどうしても必要になってきますね。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

とよこさんへ、

衣食足りて礼節を知るとは良く言ったもので、こちらの生活水準もかなり向上しました。

ですから、あっと言うような横領・窃盗は少なくなったものの、規模の小さな悪事は比較的よく起こります。

当社の場合、ボーナスは業績に基づいて利益配分を行いますので、従業員が利益を損なう仕事の仕方をすれば、支給も当然下がりますと説明します。

それを理解してくれて、少しでも歯止めになってもらいたいと思っております。