昨日、世界遺産のあるアユタヤまで出かけました。
ここには、洪水で一躍有名になったロジャーナ工業団地があります。
当社も取引先が一社ありまして、そこの工場を訪ねました。
重要な部品を納入してもらっていましたが、ここは閉鎖するようです。
貸し工場での操業ですから、未練も無くバッサリお引越しと言うことです。
まあ、気軽に移動できるのなら、それも良い決断かも知れません。
今度は、洪水の恐れが無い東部へ移動すると聞きました。
でも、操業の再開は来年四月からだそうです。
工場を建てて、製造装置を発注して据え付けるまで長い道のりでしょう。
当社も、そんなに流暢に待ち構える余裕もありません。
残念ですが、今年一杯で取引を終了させてもらうことにしました。
それで、貸与していた試験装置を撤収しに行った分けです。
行って見て驚いたのは、その水位を示す痕跡でした。
壁が薄く汚れたように線を引いていますが、ドアの高さとほぼ一致します。
手を伸ばせるぐらいの高さですので、2.3メーターはあるはずです。
しかし、これほどのまでの洪水が押し寄せたのなら、製造装置は全滅でしょう。
これは悪夢としか言えず、引き払うのも当然だと思ってしまいました。
でも、この水位に達するのは、もっともな理由があるのです。
実はこの工業団地は、地盤が沈下しているのです。
出入り口の表通りからは、1メーター以上、低くなっています。
写真を見てもご覧の通り、緩やかなカーブを下って団地へ入ります。
もっとも、この辺りはメナム川から運ばれた土砂が堆積しただけの地面です。
地盤もゆるゆるで、工場みたいな重量物が載ったら、どうなるでしょう。
時間が経過すればするだけ、地面も沈降していくのは当たり前です。
要するに、この状態は二十年以上も前から分譲を始めた、成れの果てだと言うことです。
こうなると、この工業団地は、すり鉢状の底にあるようなもので、水が集まりやすくなります。
堤防は高くしてあったようですが、水圧を防ぎきれなかったと言うことでしょうか。
と言うわけで、地盤の低下を防ぎたかったら、整地に基礎のパイル杭をじゃかすか打ち込めば良いだけなんですが、お金がかかり過ぎて投資としては旨味がありません。工業団地側だって、手をこまねいている分けでも無く、万里の長城みたいな鉄壁の堤防を作って洪水を防ごうとはしているようです。でも、何時来るのかも分からないのに、洪水にお金を投資するよりは、費用効果からみたら引越しが一番簡単なことです。かつての取引先が選んだ決断は、一番の安全策なのかも知れないと思った道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)
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