2009年10月25日日曜日

タイに住めば、”朕は国家なり”が良く分かるの巻き

※ロイターさん、ご容赦下さい。

タイのプミポン国王は、今年の誕生日12月5日で82歳をお迎えになる。

最近は、高齢のため公務をできるだけ減らして来たようだ。テレビ番組を通じて月に一二度だったとしても、お元気なお姿をお見かけするのを頼もしくも感じていた。それでも、ご無理がたたったのかもしれない。

とうとう、先月19日にはご健康を崩されてしまって、バンコク市内のシリラート病院に已む無く入院されたのである。国民も、今度ばかりは気が気でなかったと見えて、病院へ健康回復を祈願する目的で、大勢の人が記帳のために訪問している。

※写真は、バンコクポスト9月23日付。

と言うのも、国王がこれまで何度も体調を崩されて入院されているのを、国民は知っているからだ。昨年も、誕生日前夜の国民に向けた訓話を、お体の不調でかなわず、急遽、お取り止めになっている。しかも、そのまま病院へ直行されたようだし、王室庁からは具体的な病状の報道も無かったため、一部ではすわ一大事の噂も出ていたぐらいなのである。

だから、国民は本当に気がかりで仕方が無かったのだ。

とにかく、先週の23日、国王がほぼ一ヶ月ぶりに公の場にお姿をお見せになったのは、まことに喜ばしい限りであろう。しかもこの日は、祖父であるチュラロンコン国王の命日を記念した休日にも当たっている。現チャクリー王朝が安泰であるメッセージとして、その映像が国民に向けてテレビで放映されたのは、かなり重要な意図が込められていたように思えるのである。

思うのだが、プミポン国王は、国家そのものを象徴しているのだ。

立憲君主制の中で、いかに議会制民主主義によって国家が 運営されているにせよ、政界、官界、軍部の調停役として権威を六十年もの長きにわたって維持し、国民からも絶大な支持と敬愛を集めて来た国王は、揺るぎの無い絶対的な存在と言ってよい。

そのような国王だから、少しでも健康不安の噂が流れてしまえば、タイの政財界は混乱してしまう。現に、今月15日には株式市場が5.3%も暴落する事態に陥ってしまった。通貨にしても全面的なバーツ安の傾向は否めない。正に、国王が在位されておられるからこそ、安定したタイの国家発展があると、国内も海外も見ていると感じるのである。

そんな分けで、在タイ日系企業も、当然、王室の将来には関心を寄せているのです。国王のご健在なお姿を拝見できたとしても、一抹の不安がよぎってしまう貧乏社長なのでした。
(この巻き、終り)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

 タクシン首相が登場してから、タイの政治が不安定化したとの印象がぬぐいきれません。都市と農村の問題が背景にあると推察されるのですが、国王の健康問題もからんでいるのでしょうか。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

匿名さんへ、
都市と農村の問題では無いと思います。農村は、政治を牛耳るためにダシに使われてきたきらいもあります。タクシン元首相は、民主党の農家個別所得保障のように、バラマキ政策を推進して財政赤字を増やしたのです。
タクシン勢力と、現行の民主党政権は、支援する政財界の勢力が異なります。タクシン派は、新興財閥がメインで、アピシット政権は王室と旧勢力(従来の財閥、日系企業も含む)が頼りです。
面白いのは、タクシンが中国寄りで、日本は好きでないようです。アピシットさんは、中国より日本を先に外交訪問しましたし、民主党の人には、日本びいきが多いのも事実です。
そのような支配勢力の、政界、官界、財界の暗闘を、国王がバランサーとして地ならしをされておられるのですよ。アジアの国において、なかなか得がたい執政者に違いないと、小生は本当に思っています。
だから、健康問題は重要だということでしょう。