2009年9月14日月曜日

バンコクポストで見る今日のタイ(その3)

前回に続けて、八月分を紹介してみる。毎月、毎月、面白い写真が載るのでバンコクポストは興味が尽きない。

★タクシン氏の恩赦を求めて政府に要求(八月十九日)


赤シャツのサポーター達は、有罪となったタクシン・シナワット元首相に対する特赦の嘆願を正当化するために、王宮前広場から王宮の国王秘書局主のオフィスまで三百五十万人の請願を納めた五百の箱を運んでいます。

解説:
タクシン元首相は、都市と農村間の経済格差を少なくする目的で実施した経済政策の影響もあって、農村部での支持は絶大である。特に、タイ東北部のイーサン地方の農民達の支持は、強力だ。このようなアカシャツ団は、遠路はるばる数百キロの彼方からバスで駆けつけてくるのである。日当は五百バーツで誰かが払うらしいのだが、結局は資金力がものを言う。同氏は、莫大な資産を密かに保有しているらしいから、そんなことはお茶の子さいさいなのだろう。
ただ、国外に逃亡した指名手配者には違いない。新たな罪も加わったから、裁判を始めてみないと、刑期はどれぐらいになるか分からないのだ。服役もしていないのに、端から恩赦を求めるのは、土台が無理な話である。尋常な話には思えない。

<原文>
Red shirt supporters carry 500 boxes containing 3.5 million signatures from Sanam Luang to the Office of His Majestys Principal Private Secretary at the Grand Palace to justify the petition seeking a royal pardon for convicted former prime minister Thaksin Shinawatra. SAROT MEKSOPHAWANNAKUL


★水上のちょっとした素敵なアイデア(八月十九日)


シリンドン王女は、ドゥロス号の船上で、陳列されてるさまざまな本を見学しています。この船は、世界最大の洋上の図書館で、日曜までバンコク港に係留され、タイの訪問は五度目になります。

解説:
これは、記者ソムチャイ氏の勘違い記事で、ドゥロス号は図書館ではなく、正確に言うと五十万冊の洋書を載せた「船上書店」なのである。オフィシャルサイトを見る限りブックストアとなっているので、図書館では無いようだ。ただし、ウイキペディアでは、”the biggest floating library in the world”と紹介されており、これを引用したのだろう。この電子辞典それ自体は自由投稿だから、誰も責任を取らないし信頼性は薄い。ペンで身を立てる職業家なら、もう少し慎重さがあって欲しいと感じた。
因みに、この船は1914年に建造され、現在でも活躍する世界で最も古い現役船としてギネスブックで認定されている。日本へも2007年に訪問しており、福岡、金沢、新潟に寄航しているようだ。


<原文>
Floating some wonderful ideas
Her Royal Highness Princess Maha Chakri Sirindhorn looks at a variety of books on display on MV Doulos, the world's largest floating library, moored at Bangkok Port until Sunday. lt is the fifth time the ship has visited Thailand. SOMCAHI POOMLARD



★踊る外交特使(八月二十日)


日本の伝統的な大衆演劇一座から女形を演ずる男優たち。演じ手は、数百万バーツの凝った着物をまとい、サイアムパラゴン・花吹雪を宣伝している。今回は、日本との外交120周年を記念して、伝説とも言える日本舞踊が出し物。

解説:
タイでは、レディーボーイ(オカマ)が一大産業として成り立っている。オカマちゃんの美人コンテスト、ミス・ティファニーも毎年盛大に行われているくらいだから、日本の女形は受け入れられて当然といえば当然だろう。それで、 日本との外交120周年を記念するイベント絡みとなると、個人的にはしっくりこないのである。

<原文>
Dancing diplomacy
Male actors in female roles from the Hanafubuki Japan troupe perform taishu engeki, a traditional form of Japanese theatre, yesterday. The performers, whose elaborate kimonos are worth millions of baht, are promoting Siam Paragon Hanafubuki: The Legendary Dance of Japan in celebration of the 120th anniversary Japanese diplomatic relations. Performances run from tomorrow until Sunday.  PATTANAPONG HIRUNARD



★空に舞う王女(八月二十四日)


スカイトレインのサイアム駅で下車するシリンドン王女。王女は、トンブリ地区ウォンウィエンヤイ駅までの路線延長の開始を執り行われた後、乗車されました。

解説:
スカイトレインは、バンコク中心部を走る高架鉄道で、普通はBTSと呼んでいる。今回は、シーロム線の第1期延長部分として、タクシン橋でチャオプウラヤ川を渡るようになった。現地で採用された日本人の中には、先を見越してこのトンブリ地区にアパートを借り始めた人が出ていると、とあるブログでも紹介されていた。

<原文>
Princess in the sky
Har Royal Highness Princess Maha Chakri Sirindhorn alights the skytrain at Siam station. The Princess took the train after presiding over the opening of tha extended route Wong Wian Yai in Thon Buri. THITI WANNAMONTHA


★鼻から木へ(八月三十一日)


五歳のカムライソンは、自分の鼻でデュシット動物園の壁へ木を描いています。動物園は、東亜ペイント・タイとデュポン・タイと協力して、野生の動物が動物園の壁に描き出すコンテストを、11月20に実施することにしています。Mathayom Suksa 10から大学レベルまでの学生は、参加することができます。

解説:
このMathayom Suksa 10と言う言葉は、辞書で調べても無いのでググって見た。結果は、教育の履修レベルを指していそうな感じがするものの、はっきりはしなかった。しかし、象を敬うはずのタイ人が、チェンマイで生まれたパンだの赤ちゃんにあやかろうと、白黒に塗り分けたり、今回はサイケデリックにお化粧したりと、虐待気味に扱おうとしているのが気にくわない。おっとりしたタイの世の中でも、かくも世知辛くなっていると言うことなのだろう。

<原文>
Trunk to trunk
Five—year-old Kamraithong uses her trunk to paint a tree on a wall of the Dusit Zoo. The Zoo in cooperation with TOA Paint (Thailand) and Dupont (Thailand), is organizing a wildlife painting contest on the zoo‘s walls on Nov 20. Students from Mathayom Suksa 10 to university level can take part. APICHART JINAKUL


★ホームレスの追い立て(八月三十一日)


バンコク郡政府は、王宮前広場で睡眠を取るホームレスの人たちへ新しい取締りを開始してます。その場で見つかって、帰る家があるならば、費用をもらって帰されますが、行き場のない人たちは、あてがわれたどこかの場所で眠ることになるでしょう。

解説:
最近は、景気も後退しているから、職にあぶれて郷里へ仕送りもできなくなって、帰ることもままならない人たちも多い。寝場所を探して夜を歩き回った結果、安全で警備のしっかりした王宮前の広場にたどり着いたということなのだろう。タイの国民は、王室に対する尊敬と忠誠がきわめて高い。間違っても、宮殿の前で追い剥ぎとか置き引きで一儲け働くなんて大胆不遜な田分けは居ないはずである。しかしながら、代わりの寝場所は何処になるのだろう。その方が心配になってしまった。

<原文>
Eviction of homeless
The Bangkok Metropolitan Administration is launching a new crackdown on homeless people who sleep at Sanam Luang. People found at the grounds who have homes will be returned free of charge. Those without a home will have somewhere found for them to sleep. PAWAT LAOPAISARNTAKSIN



★洪水警戒(八月三十一日)


激しい降水で、チャオ・プラヤー川の水かさが高まっています。現在、バンコクのバンプラッド地区のワットパキネーンナ寺院の近隣地区を守る堤防とほとんど洪水壁と同じ高さのようです。その地区は、2006年の氾濫による激しい被害を受けています。

解説:
バンコクを含め、チャウプオラヤー川の下流一帯で起きる洪水は、日本のものとは様相がかなり違う。タイは、どちらかと言うと広大な平原の国なので、長い距離を掛けないと標高差も発生しない。だから、チャオプラヤーも緩やかに流れ下ってくる感じなのだ。上流で大雨が降ると、一日一日を五センチ十センチの単位で水かさが増えてきて、堤防をあふれ決壊するような洪水なのである。だから、災害への備え・危機感は希薄で、地元の人たちは、時が来れば水かさも減って引くから、今は我慢しておこうぐらいの気持が見て取れる。何と自然のやさしさに恵まれた国なのだろうと、驚き入る。

それで、Yahoo!翻訳で試しに英訳してみたが、ほとんど役に立たなかった。このキャプションは、文法的に大きいな誤りも無いと思うし、意外に平明に書かれている。しかも、二三語で構成された地名を固有名詞なのか判断できずに、どう訳するかで翻訳エンジンが躊躇した挙句、降参してしまった感じもした。翻訳無料サイトの限界とはこういう物である。

<Yahoo!翻訳で翻訳した結果>
重い雨量バンコクのBang Phlad地区のワットPhakineenart寺院の近くでコミュニティを保護することがほとんど現在洪水壁と同じ高さであるように、趙ピア川の水位を増やします。コミュニティは、2006年の氾濫による難しいヒットでした。

<原文>
Flood alert
Heavy rainfall has increased the water level in the Chao Phraya River so that it is now nearly the same height as a flood wall protecting a community near Wat Phakineenart temple in Bang Phlad district in Bangkok. The community was hard hit by flooding in 2006. THlTl WANNAMONTHA

(この巻き、終り)

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