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□□課長殿
掲題の件、添付の写真を踏まえて下記の通り回答申し上げます。
記
1.上段の産業マスク、即納可、単価23バーツ(65円)
2.中段の活性炭入りマスク、即納可、単価10バーツ(28円)
3.下段の一般的なマスク、現時点で納期まで2週間、単価2バーツ(6円)
注:現在、詳しい見積書を取り寄せています。日本への送付料は改めて相談させてください。
以上
厚生労働省が記者会見を行った29日には、その時点で新型インフルエンザ感染確定者が国内で359人になったと発表したんだそうだ。もちろん、お役人が勇ましく唱えた「水際対策」で確認された、国際空港でのたった八人は除かれている。まあ、それを足したとしてもそんなに数は変わらんし、死者もまだ出ておらんようなので、豚ちゃん風邪は、流行性感冒のちょっと強いレベルで済まされそうなもんだと思う。
貧乏社長の賢くもお住まいするタイでは、患者が発生しているんだか、増えているんだかは、あんまりハッキリしていない。水際対策なんてありそうも無いし、余計な報道発表でタイへ遊びに来る観光客が大挙してキャンセルされても観光収入が激減するだけで、商売も上がったりなので、本音は絶対に発表されないだろう。とにかく、マイペンライで日常の生活が能天気に過ごされて来た印象だ。
そんなありきたりの5月某日、親会社様から特別迷惑指令が、ご当地クルンテープへ舞い降りてきた。
”ニュースでご存知とは思いますが、日本で豚インフルエンザが急増しており東京を含む関東地区でもその脅威が差し迫っている状況です。このような状況下、タイでマスクを購入していただきたいのですが、□□社長へ依頼していただけないかとお願いがありました。”と、賢くも畏れ多き日の本からの絶対服従命令が下賜されたのである。何々、日本で品薄になったマスク千枚をこちらで物資調達せよとの軍命になっておる。申し訳程度に注釈が付いておって、同様の悩みを持つ日本の業者さんから、タイならまだ購入できるらしいとの情報を入手したから、仰せ付けるとのことらしい。
不承不承、総務課長に指示を入れながら、適当に3種類の見本を選び出して、最初のメールのように、すわ鎌倉のごとく忠勤を励むかのように日本へ吹聴してみた。
すぐさま指令が帰ってくる。もう千個足して二千個を買い付けるようにとのお達しであった。そんなことは、お安い御用だ。すぐに出入りの業者へ電話して注文を入れたが、納期は繰り上がらない。二週間は最低必要らしく、こちらでも品薄にある状態は日本と同様で変わらない。後は、納品したら日本へ改めて発送し直すだけなので一件落着ということではある。
しかし、マスク一つで日本人が物欲狂想状態に駆られているのも可笑しい。死者を安易に出しまくる感染済み諸外国は、マスクの効果を疑って着用には無頓着だ。むしろ、ニューヨークタイムズなんかは、日本人誰しもがマスクに執着しているのを、全体主義的で脅迫観念に苛まれる極度に清潔好きな民族だと見なして、記事で皮肉っている。
だがな、感染者を出しても死亡者を出さない。
これこそが、国力であり民度の高さではないだろうかと貧乏社長は思うんだ。衛生観念を悪意で理解してくれる、あっちの人たちの中では命を落す人が今後も出続けるだろう。
それを思うと、つい、憐憫の情で見ざるを得ない。
そうだ、マスクが足り無いなら自分で作ればよいのだ。
日本人は、何ゆえ購入すると言う安直な行動に走るのだろう。知恵があれば何とかなるのではないか? 消費文明社会にどっぷりはまって、自活する能力すら既に枯渇しているんじゃないのかと、貧乏社長は考えた。そこで、グーグル検索を使って、マスクが自作できないものかか、可能性を模索してみた。
ちゃんと、出てくるものである。
★だめだめママ生活★ 新型インフルエンザ対策?キッチンペーパーで手作りマスク
「構造化コーディネート研究所」 見て・つなげ・組み立てよう キッチンペーパーでマスクが作れます。(+5/24追記)
聞いて聴いて こんな事あんな事 キッチンペーパーの手作りマスク [新型インフルエンザ]
ペーパータオルでマスク作り
実を言うと、おいらはその事を親会社様にも通知しておいた。
ただ、一言余計な事を言いすぎたのかもしれない。
それは、
”ご参考までに、フェースマスクをキッチンタオルで作ると言うアイデアがブログでかなり紹介されていました。(参考URLを列記しながら)
私の考えですが、ゴワゴワした感触があるようで、紙を揉みこんで腰を柔らかくすると使いやすくなるような気がします。(尾篭ですが、質の悪い便所紙を揉んだのと同じです。)タイでもマスクは探せるだけ努力します。お急ぎなら、参考情報として社員へ連絡下さい。”、
と言う内容なんだが、今になって思えばやり過ぎだった。
今時の人は、お尻が痛くなるよう粗悪な茶チリと言う便所紙なんか知らないだろう。貧乏社長は、それを知っている最後の世代だと思う。小樽の山の中の下宿屋で、貧乏生活をしていた先輩が使っていた茶チリ。トイレットペーパー買うのも惜しんで、安酒を浴びていたようだが、今となっては懐かしい。
と言うわけで、インフルエンザが古き良き学生時代を尾篭ながらも思い出せてくれたことに、感謝してしまう貧乏社長なのでありました。(この巻き、終わり。)
おまけ:キッチンペーパーを少し揉んでからマスクを作ると本当に腰が柔らかくなり、使い捨てとして実用の粋まで達しそうな感じがしました。でも、タイは、ものが安いから在庫のある限り自作する必要も無いんだけどね。
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