そして、”行く年来る年”の新年を祝う初詣の番組が始まっている。
貧乏社長にとって、海外で新年を迎える初めての年になる。
こちらでは、畏くもプミポン国王が国民に向けて新年の挨拶をテレビ放映されておられたので、撮影することが出来ました。
国王のご長寿を祝うと共に、タイ国がこの新しい年を迎え繁栄することを、おいらは願って止まない。
こっちのバンコクで、陳列され売りに出されているギター、一番安いのだと2千バーツ(5千円5百円)もしない。何でこんなに安いのだろうと、訝しくも感じた。なぜかと言うと、日本で最初に買ったモーリスのウエスタンギターが二万円もしたからで、それでも下から二番目に安いグレードだったはずだ。
お年玉と貯めて来た小遣いを全部吐き出して、やっとこさ買えた思い出があるのに、バンコクではその3割程度で買えてしまう。この値段の違いは、いったい何処から来るのだと自問自答してしまった。
あの頃の日本は未だ貧しくて楽器なんか弾く人も少なくて需要が無かったから高かったのかなーとか、一方、タイでは一家に一本ギターを欲しがるくらい流行っていてニーズがあるから量産してるんで安いのかなーとか、無理くり思案したものの、下手な考え休むに似たりで、あほらしくなって考えるのを止めた。
買って弾いてみようか、もう一回、ギター小僧にでもなってがなりたててみようか!
これぐらいの金額だったら、ちょっとしたゴルフ場一回分のプレー料金より安いはずだ。もし、予想以上に手が固くなって、コードを押さえ切れなかったり、スリーフィンガーとかアルペジオとか爪弾け無かったとしても、お遊び代としては無駄にはなるまい。それより、手を動かしながら大声を出して歌うのはボケ防止になるかもしれないと、最近、めっきり記憶力の悪くなった貧乏社長はひそやかに期待しつつ買うことを決断した。
上さんは、毎週、おいらがあの出店で物欲しそうに見ていたのを知っているんで、買いたいと断ったら、すんなりどうぞと同意してくれる。駄々をこねられたら、こんな大きい赤ちゃんでは堪らんと思ったのかもしれない。
上さんの気が変わる前に買出しに言ってしまえとばかりに、先月の11月23日に511番のエアコンバスに乗って、世直し一派の「民主市民連合(PAD)」が占拠した首相官邸からさほど距離も無い、カオサン近辺の近くの楽器・ミリタリー用品街に繰り出す。(全然、安全だったので気抜けした。)
この通りはアサダンとか言うらしい。
前もって、ネットでバンコクで楽器を購入した体験談を探してみたんだが、値ごろ感のある、悪く言えばバッタもんの品物はここで売られているようで、フェンダーとかギブソンなどモノホンが欲しい人は、セントラルワールドプラザなんかの楽器屋へ直行することをお薦めする。
おいらは、気まぐれに思い出していじくってみようと考えているアマチュア乗りのロートルなもんで、この当たりがお似合いと思って、買出しを決めたわけだ。
お店は、ありました、ありましたよ。十数件はあるんじゃないかと思う。
そのうち、二三軒は、そこそこのブランド品とかブラス楽器、ドラム打楽器なんかも扱っていた。おいらの目指しているのは、そんな格好の良いもんじゃなくて、いかに見栄えが良くて安く買えるかにあるのであって、音の優先順位は下がってしまっている。
冷やかしながらアコギの値段を聞きつつ交渉をしてゆくと、どんなに安くても1300バーツまでは値引かない感じがしてきた。ヤマハのギターはたまに見かけるんだが、ほとんどは地元のブランドらしくて、SAKURAの名前が多い。
結局、最後に残った二軒の内、どう見ても楽器屋の主人とは思えない30代のママさんが、お茶を挽いている店で買ったのが、このVivid(ビビッド)と言うブランドのギター。
ソフトケース、肩から掛けるストラップ、替えの弦とか色々付けて、1700バーツ位になったが、本体だけなら1350バーツくらいまで値引けた気がする。一式5千円で買えたわけだから本人は大満足なんだが、上さんに言わせると値引き交渉がまったくなっていないそうで、交渉途中で”安い”とか”こんなもんだろう”とか日本語を連発していたんで、店側に悟られたんじゃないかと思ったらしい。
とにかく、お金を払ってダンボールケースに入れてもらって、後生大事に抱えてアパートまで持って帰って来た。早速、箱から取り出して、もう一度検品してみる。
このギターの値段の割りに凄いポイントは、弦を張る棹、通称”ネック”にたわみを是正する金属製のロッドが埋め込まれていることだ。弦の張力でネックが曲がってしまう場合があるのだが、付属品の六角レンチを使って回しながら調整することができる。このほか、ネックのヘッドをはじめ部分部分に象牙の様な素材で縁飾り加工までされてあって、一見、バッタもんのギターには見えない。
ただ、ボディーの側面や裏面は真っ黒けでどんな材質の木が使われているのか、木目も分からず判明しない。サウンドホールから覗いて見たが、あんまりきれいな木目も見えないからただの合板だけかもしれない。一応、表面のニス塗りもムラ無く仕上げられているので合格と言うことにしておこう。
しかしながら、糸巻き”ペグ”だけはギアの動きに遊びが少しあって、微妙に音合わせがしずらかったり短い時間でチューニングがズレたりする気がする。そこは、値段相応と言うことで、自分なりにこまめに音合わせをして我慢することにした。
音は、一応出るので気にしない。
演奏が上手くないから、良い音なんだかどうか自身も判別が付かない。後は、貧乏社長の練習しだいで、このギターも良い音を出してくれるようになるんじゃないかと思う。ギターも結構弾き込んでくると、音に厚みが増してくるようになる逸材もあるから、期待して見よう。
この後、チューニング用フリーソフト(尺八向け!)をダウンロードしたり、無料歌詞検索サイト(コード譜表示)で歌える歌を探したり、元唄をユーチューブなんかで聴いておさらいしてみたりと、結構ノリノリで、ギター小僧ならぬギターオジジに変身してしまった、貧乏社長なのでありました。(この巻き、終わり。)
おまけ:一点豪華主義とばかり、カポタストだけはギブソン純製を買ってしまいましたとさ。
イギリス人のデフォルメ・造形観は、ややもするとグロテスクでアクの強いせいか、農耕民族の日本人にはなじめないのだが、こちらのパペットショーは、同じ仏教徒の民らしく大人しめにそっくりと作られていて、好感が持てる。どっちかと言うと、長い間繰り返し再放送されて人気のあるSF人形劇「サンダーバード」のキャラクターと、このパペットショーの登場人物の雰囲気が似通っているようだ。
ところで、この劇中に登場する人物が、どんな政治家なのか言論人なのか貧乏社長も分かっていなかったので、会社の従業員に聞いてみた。どうやら、このシーンに出て来る左側の人物は、民主党のチュアン・リークパイ元首相で、右のスキンヘッドは、地元英字紙「ネーション」の編集長スティチャイ・ユン氏らしいと、判明した。
ただ、右側に登場する女性の人物は、現地の人でも分からない。結局のところ、普通のタイ人は政治には余り興味が無いのが普通らしい。
ところで、この人形劇にアピシット首相は、まだおいら見かけていない。と言うより、最近は政争も混乱も収まって日本側から問い合わせがほとんど無くなったんで、番組を観ていないのが本音だ。
まさか、首相に任命されたての人物が登場するとも思えないので、この人形劇を折に触れてチェックだけはしておこうと思っている。こちらは勅命状を携えた伝達官が来る前の夫妻。
伝達官が会場へ到着。
勅命下賜の式典が始まり、伝達官は勅命状を読み上げる。一方、隣のエンポリアムデパートでは、すでにきらびやかなクリスマスツリーの飾りつけも始まっている。こうして、貧乏社長と上さんは、年越しまでのカウントダウンがすでに始ったのだと感慨に浸りつつ、ローイ・クラトンの夜を過ごしたのでありました。 (この巻き、終わり)
追記:後で知ったんだが、タイにもオタクがいてボーカロイドの初音ミクにローイクラトンの歌を歌わせているんで、驚いてもうた。
確かに、切符には8.5と印字されているので運賃が戻ったのかもしれないと感じたんだが、帰りのバスで社内に掲出された通知をみて、運賃が値下げされたの確認した。貧乏社長はタイ語が読めないが、上さんはタイ語の学校に通っているので簡単な言葉なら読み取れる。
書いてある意味は、10月28日から8.5バーツになるという意味らしい。石油価格の下落が、バスのような公共料金の値下げで消費者に還元されることは、一日あたりの最低賃金が204バーツ(約600円)の一般庶民にとって、結構な生活支援になるのではないかと思った次第。
出かけた先はプラトゥナム・センターなんだが、ここに入居しているテナントがガラ空きの状態でシャッター街と化してしまっている。写真を見ても分かるんだが、隣接している二棟の高層マンションは建設途中で放棄されていて、センター自体の上層階部分も未完成のようだから、裏寂れた印象はぬぐえない。それで、便利の悪さと立地の不利を挽回するかのように激安サービスに打って出ている店もあって、”フットマッサージ40分・99バーツ”と言うのもある。まあ、一度試してみる価値はあるかも知れない。(写真は、プラトゥナムファッションモール6階の日本食レストラン”Fuji”(6階)から撮影。)
一方、ラーマ4世通りにあるカルフールのシャトルバスに、一部運行ダイヤの変更があったんだが、上さんが良く使うスクンビット・ソイ26-24路線が、この8月から一時間おきに減便されてしまった。ちょっと不便になって残念なんだが、最近は、ソイ26にあるフォーウインングスホテルの近くまで歩いて行って、エカマイ~トンロー線の戻りに乗せてもらうことが多くなっている。健康もかねてウオーキングと言うところだろう。
と言う分けで、バスにまつわるおいらの暮らしもちょっとは変化があったいうことなのでした。(この巻き、おわり)