先ず、タイ政府のエネルギー省:EPPOが開設しているホームページにある”Retail Oil Prices”と言うページに飛んでみる。石油の元売会社が主に9社あって、タイ国内で営業中のようだ。
PTT - Petroleum Authority of Thailand (ポートートー)
BCP - The Bangchak Petroleum Public Company Limited (バンチャック)
Shell - Shell Thailand (シェル)
Esso - Esso (Thailand) Public Company Limited (エッソ)
会社のスタッフが調べてくれたデータによれば、タイ国内のガソリンスタンドは約1万8千5百箇所あるから、日本の約4万箇所に比べて半分くらいの規模だ。もっとも、人口は6千5百万くらいだからこの程度の数がちょうど良いのかもしれない。本音を言えば、ガソリンスタンドが増えてくれれば商売も繁盛するんだが、こればっかりは石油需要の規模や車社会の成熟度次第なのでしょうがない。この石油会社の中で、PTT、BCP、Esso、PureにはPublicと言う名称が入っている。国が一部株式を所有する公営企業を意味しているんだが、結構、政府がエネルギー産業をコントロールしているのが分かる。
PTTは、最大手の石油会社なんだが、スタンドのプライスサインを見てみると取り扱う石油製品の数がやたらに多くて、びっくりする。
同社は、毎週の石油価格の変動を過去四年間に亘ってホームページで照会できるようにしてあるんだが、これを眺めていてもいかに今年が石油価格の乱高下が激しかったのがわかる。
2005年から2006年に掛けては、小売価格が20バーツ前半から後半で上昇基調で推移してきたのが、2007年後半には30バーツを突破する製品が現れて、2008年はジェットコースターのように急上昇してピークは七夕の7月7日の週だったのを数値が指し示している。
原油価格は、このときどうなったのかと思って調べたら、ニューヨーク市場で取引されたベンチマークとなるWTI原油は、この7月11日に過去最高価格147.27ドル/バレルを記録したことが分かった。つまり、タイでは末端の売値が、原油価格と連動しながら決定されているようだ。それと、半ば国営企業の最大手PTT社が市場で価格設定の主導権を握っていて、他の石油元売も市場をかく乱することなく右ならえに揃って追従しているのだろうと、おいらは考えた。(実際に、エネルギー省の価格情報を調べても、単価に大きな差が出ません。)
ただ、タイのようにいきなり原油価格と末端小売価格を直結して連動させてしまう価格設定の方式は、結構乱暴なような気もする。
石油製品と言うのは、実際に原油を買い付けてから市場のガソリンスタンドで販売されて代金が回収するまで、数ヶ月もかかるプロセスを経ている。今売っている石油は二~三ヶ月前以上の原油が精製されて流通していることになり、その時の原油価格が現在に比べて安ければ利益が確保できるが、高ければ逆ザヤとなって赤字がかさむ。
現時点では、7月頃の最も高い値段の輸入原油が処理されていると思うんだが、これは91ガソリンで言えば40バーツ以上になり、現在の30バーツ以下と比較すれば、10バーツ以上の逆ザヤになる。無論、原油価格がピークに達するまでは、安い原油価格を処理して販売してきたのだから、その利益を現在は赤字補填していることになる。
まあ、一般消費者にとって、原油価格と石油価格が連動しているのは、石油会社も暴利を貪らず一般庶民の生活防衛に貢献し企業責任を行使している図式が簡単に成り立つ分けで、非常に単純で理解しやすいのかもしれない。
このほか、タイのガソリンスタンドは代替燃料のオンパレードといった感じもして、ガソホール、NGV、バイオディーゼルが販売されている。
NGVと書いてあるCNGガスの価格は、PTTが独占していて8.5バーツ/KGととんでもなく安い。タイ国産のエネルギー資源でもあり、石油販売利益からの補助金もあるせいで、ずうっと割り安が維持されているが、来年は、12バーツまで値上げされるようだし、CNG車の改造費用が以外に割高だったり石油価格の値下がりもあるようだから、CNGへのエネルギー転換は、ちょっと一息つくかもしれない。
エタノールを85%混合したガソホールE85も、走れる車がバンコクに4台のみだったと言うお寒い状況の中で、この8月末にタイ政府の肝煎りで強行発売されたんだが、ガソリンに比べて燃費が三割近く落ちるし、日系自動車メーカーもE20のエコカー生産を優先させる発表をするなど、普及の見通しはほとんど立っていない実情だ。どっかのお役人様が、アンダーテーブルの見返りで躍起になっているのかもしれない。
エタノールを85%混合したガソホールE85も、走れる車がバンコクに4台のみだったと言うお寒い状況の中で、この8月末にタイ政府の肝煎りで強行発売されたんだが、ガソリンに比べて燃費が三割近く落ちるし、日系自動車メーカーもE20のエコカー生産を優先させる発表をするなど、普及の見通しはほとんど立っていない実情だ。どっかのお役人様が、アンダーテーブルの見返りで躍起になっているのかもしれない。
と言うわけで、今年も残りあと二ヶ月になった。
今年は、6月に最低賃金が一日あたり9バーツ(5%)上がった中で石油価格の高騰も一段落して、物価高で苦しめられた市井の暮らし向きも一息付いたんだと思う。政府の発表では、来年のGDP成長率見通しは4%まで落ち込むそうだし、お客さんの石油会社も、今の石油価格じゃ赤字補填続きで来年は設備投資を手控えるかもしれない。
”お客さんの懐具合が寒くなるのは厄介だな。来年はどうやって会社を切り盛りしようかな。”などと、思案し始める貧乏社長なのでした。
(この巻き、終わり)
(この巻き、終わり)
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