2008年11月16日日曜日

ローイ・クラトンが来ると、もう師走だなの巻き

今年も伝統行事ローイ・クラトンの季節がやって来た。


太陰暦で言うところの12月の満月の夜に、このお祭りは行われる。だから、毎年決まった日にお祭りがやって来ると言うわけには行かず、今年は11月12日の水曜日になった。ローイ・クラトン、簡単に言えば”灯篭流し”なんだけど、“ローイ”は流すという意味で、“クラトン”というのは、元来バナナの葉で作った入れ物のことを意味しているそうだ。もっとも、お祭りでは蓮の花をあしらってこしらえた灯篭のことを”クラトン”と指していて、それに火を付けた線香、ろうそくを立てて、池辺や川辺から沖へ向けて流すのが習わしになっている。日本でも、同じような”灯篭流し”とか”精霊流し”の習慣を持つんだが、死者の魂を弔って灯籠(灯篭)やお盆の供え物を海や川に流す行事なのに対して、タイではさほど宗教的な意味合いを持たない。願い事をかなえるためにろうそくに火をつけて水に流し、いつまでも消えなければそれがかなうと庶民には信じられていて、川の女神に感謝を捧げるための本来の意味は無くなっているのかもしれない。


現世のご利益が一番な分けで、同じ御仏を信心するタイの人と日本人は、灯篭をめぐってかくも異なる様相を示すのが面白い。貧乏社長は、クラトンが蓮の花のデザインなので仏教の謂れがきっとあるんだろうと思っていたんだが、事実を知って面食らってしまった。クラトンに小銭を入れて富がもたらされるように祈願したり、若いカップルが一緒に灯篭を流して愛を確かめ合うという行事に変貌したのなら、それはそれで構わないと思う。


それで、上さんがロイクラトンを見に行きたいと言ったので、ネットを使って調べてみた。バンコクなら、本命はチャオプラヤー川沿いで行われるのが盛大のようだが、見物客が川沿いに殺到するので交通渋滞が尋常ではないらしい。しかも、貧乏社長の住まいはスクンビット通り日本人ゲットー近辺なので、かなり離れている。出かけるだけでもかなり時間がかかってしまうだろう。


他に無いものかと、ブログやら観光ガイドやら片っ端からネットで調べてみると、BTSプロンポン駅そばのベンチャリ公園と、アソークのクイーンシリキットコンベンションセンターの隣にあるベンジャキティ公園が見つかった。池の大きさでは、前者より後者の方が勝るのだが、手軽に歩いていける範囲となるとベンチャリ公園しかない。ものぐさも手伝ったのだが、おいらたちはこの公園へよっこらせと出かけてみた。
公園は、本当に見物客で混雑していたんだが、どこからかフレーズを繰り返すローイクラトンの歌が流れている中、池に流された灯篭のともしびが点々と光っている風景は幻想的でもあり、それなりに雰囲気を楽しむことができた。

一方、隣のエンポリアムデパートでは、すでにきらびやかなクリスマスツリーの飾りつけも始まっている。こうして、貧乏社長と上さんは、年越しまでのカウントダウンがすでに始ったのだと感慨に浸りつつ、ローイ・クラトンの夜を過ごしたのでありました。 (この巻き、終わり)

追記:後で知ったんだが、タイにもオタクがいてボーカロイドの初音ミクにローイクラトンの歌を歌わせているんで、驚いてもうた。

0 件のコメント: