もちろん、NHKの日本語ニュースは見向きもせずに、NBTとかチャンネル5とか現地のテレビ局ニュースを言葉も分からぬまま、ながら族風に流す習慣だ。NHKは、2時間の時差がある関係上、向こうでは8時頃のため”今日の話題”みたいなトピックに移ってしまっていて、メインの時事ニュースを聞くこともできず役に立たないので、聞いていない。
こんな習慣になってしまったのも、昨今のタイの政情不安があったからで、日本側からどうなっているんだと再三再四の問い合わせに答えるためウオッチして来た事実がある。
いやはや、反政府派市民団体「民主市民連合(PAD)」が、この8月下旬から首相官邸を乗っ取り集会活動を繰り広げたり、デモ行進したり、挙句はタイ国営放送NBTやスワンナプーム国際空港を占拠してまったからで、海外のマスメディアも興味本位で局所的な派手な光景のシーンばかり流して来たもんだから、バンコクは街角に鉄条網でも敷かれて要所要所に歩哨兵が立ってていて、市街戦の勃発でも警戒しているかのようなイメージを与えてしまったようだ。
実際は、そんなことは何も無く、ごく当たり前に日常の喧騒は続いてきたわけなんだが、政界は政界で輪を引っ掛けて首相は憲法違反で辞任するわ後任者は二ヶ月しか続かなかったりとドタバタが続いたのも本当だ。
そんな政治情勢を皮肉るかのように、タイ国営放送のNBTチャンネルが政治家・言論人の登場するパペットショーを放映していたんだが、これは、ご本家イギリスの『Spitting Image』と言う、有名人の特徴を誇張し作られたラテックス製の人形をフィーチャーした風刺番組をパクったものじゃないかと、おいらは考えている。
イギリス人のデフォルメ・造形観は、ややもするとグロテスクでアクの強いせいか、農耕民族の日本人にはなじめないのだが、こちらのパペットショーは、同じ仏教徒の民らしく大人しめにそっくりと作られていて、好感が持てる。どっちかと言うと、長い間繰り返し再放送されて人気のあるSF人形劇「サンダーバード」のキャラクターと、このパペットショーの登場人物の雰囲気が似通っているようだ。
ところで、この劇中に登場する人物が、どんな政治家なのか言論人なのか貧乏社長も分かっていなかったので、会社の従業員に聞いてみた。どうやら、このシーンに出て来る左側の人物は、民主党のチュアン・リークパイ元首相で、右のスキンヘッドは、地元英字紙「ネーション」の編集長スティチャイ・ユン氏らしいと、判明した。
ただ、右側に登場する女性の人物は、現地の人でも分からない。結局のところ、普通のタイ人は政治には余り興味が無いのが普通らしい。
ところで、この人形劇にアピシット首相は、まだおいら見かけていない。と言うより、最近は政争も混乱も収まって日本側から問い合わせがほとんど無くなったんで、番組を観ていないのが本音だ。
まさか、首相に任命されたての人物が登場するとも思えないので、この人形劇を折に触れてチェックだけはしておこうと思っている。さて、新首相アピシット氏なんだが、取引先から聞いた話では、貧乏社長の住んでいるアパートからさほど遠く無いところに私邸があり、その住所はスクンビット通りのソイ31なんだそうだ。おいらも上さんも一国の宰相とはどんな家に住んでいるのか興味があったので、暇つぶしに散歩がてらソイ31を探索してみた。
メインの通りから脇のソイ小路に入って五百メーター進んだところに十字路があって、邦人が結構投宿しているユーログランドと言うホテルがある。その向かいに、個人の邸宅が並んでいるのだが、歩道に沿って普通とは違う黒っぽい制服姿の警官が数人、することも無しに俄か仕立てのベンチに座っている。
おいらと上さんは、何とはなしにその警官たちが休んでいる歩道を通り越したんだが、多分、ここに邸宅があるんだと感じた。それで、少し行きかけてから戻ってきて、歩道を清掃している現地のオネーちゃんに問いかけてみる。
”ノーン、ノーン、ティーニィー、バーン・ナーヨックラッタムントリー・アピシット・チャイマイ”(もしもし、ここってアピシット首相の家と違いますか?”、”チャイカップ、.....”(そうです、後は意味不明。)
なるほど、この四つ角にある邸宅が彼の家なんだ、記念にと思って撮ったのがこの写真。
地元バンコクポスト紙では、ポリスヘルメットを模した臨時交番が写真入り記事で紹介しており、確かにこの目で見ることが出来た。
と言うわけで、年明け前に色んな話に落ちも付いて、みんなで良い正月を迎えられそうだと感じた貧乏社長なのでした。
(この巻き、終わり)
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