2009年1月18日日曜日

ケリーさん、一躍、バンコクで有名人になるの巻き

このケリーさん、バンコクポストを読んでいる人なら、今年の一月第三週に入ってから二三日の間、紙面の四面当たりに四分の一を飾る広告で、堂々と紹介されていた人物なんで、結構、見覚えている人が多いようだ。


それでこの人、貧乏社長には、まったく縁もゆかりも無いコンファラン(白人)ではあるんだが、この広告の内容が、日本じゃ絶対に起こりえない、日本人の常識を超越した内容には違いなく、興味を覚えずにはいられない。

どんなことが広告に書かれてあるのか、手っ取り早く理解するには広告本文を英語から日本語へ翻訳するのが一番と思って訳してみた。

<訳文>

ケリーエリザベスフォードさん(「ケリー女史」』)は、もはや、2008年12月31日を以ってルブア・アット・ステート・タワー・ホテル: 「LEBUA AT STATE TOWER」の従業員でありません。 従って、彼女は当社を代表して業務を行うか、当社の営業に関わって措置をとる権利または権限がありません。 このように、当社は、彼女が当社を代表して取った、いかなる行動の責任もとることはありません。もし、当社の業務に関連して彼女と連絡をとりたいのであれば、食材・飲料担当取締役であるニシャント・ヤーダヴ氏へ直接に0 2624 9999の電話番号で連絡を取っていただきたく、お知らせ致します。

<原文>

Ms. Kelly Elizabeth Ford ("Ms Kelly"’) is no longer an employee of lebua Hotel at State Tower (the "Company") effective on 31st of December 2008. Ms. Kelly, therefore, has no right or authority to act on behalf of the company or take any action involving the business of the company. The company will thus take no responsibility for any activities that Ms. Kelly has engaged in on behalf of theCompany. Please be advised that if any party would like to contact Ms. Kelly in respect to the business of the Company, such person should directly contact Mr. Nishant Yadav who is our Director of Food & Beverage at phone number 0 2624 9999.

要するに、ケリーさんは既に会社を退職してるので、業務上、関係していた取引・問い合わせは、ニシャントさんへ問い合わせて欲しいと言う事らしい。

おいら、これと似たような告知広告について、昨年8月17日付けブログで紹介していて、タイには個人情報保護の観点なんかヘッタクレも無いことを掻い摘んで紹介したんだが、通常は現地の人がさらされるのに、今回はケリーさんと言うコンファランの白人女性がターゲットになったと言う点で珍しいと思う。

普通、タイ人の意識としては、海外から仕事なり旅行なりで滞在している外国人は、コン・ファラン(欧米白人)、コン・ジープン(日本人)、コン・チン(中国人)、、、と区別していて、白人だけは何処の国であろうとコン・ファランになり、金づる、客人=ご主人さま的な見方をしていると、おいらは感じている。まあ、白人至上主義の国なわけだが、これも、19世紀の欧米列強から植民地化されずに、不平等条約を押し付けられても、ヘラヘラ我慢しながら生き残った独立国の処世のわざのなせる結果として、タイ人が身に付けてしまった習性なのかもしれない。

余計なことだが、日本人は身内扱いされているような雰囲気が現地にはある。同じ黄色人種だし、タイに王室があるなら日本には皇室もあるし、進出企業も現地社会にしっくり溶け込んでしまっているせいなんだろう、その分気楽と言うことだ。

さて、本題に戻るとして、このケリーさんは、人種的に客分扱いになりタイ人社会では尊重されていたはずだ。なのにもかかわらず正体が公表されてしまったことになる。おいら思うに、何か理由があるんだろうと思って色々調べたし、考えたんだが、目的は次の三つに絞られると思った。

1.勤務していた会社の名前を悪用して、会社に損害をもたらすような行為を防ぐ目的。

2.同業他社に転職されないように、本人のイメージダウンを狙った印象操作を行う目的。

3.単純に、取引先が多岐にわたるので担当者退職による一斉告知が目的。

1.の理由は、タイ人に対して行われる、よくある事例で、犯罪とか被害を未然に抑止する効果があるだろう。貧乏社長の会社でも、会社の就業規則に違反して、同業の個人会社を作って副業で営業していた、とんでもない社員がいて、クビにした古い事例が過去にあるそうだから、似たようなもんだろう。

2.の理由は、もっと様相が複雑だと思う。本人が有能な社員で、同業他社に移籍されれば、かなり手ごわいライバルになるとか、内部事情に詳しくて、競合相手に情報を漏らされると営業的に不利になるとかで、辞められた会社が過剰反応しているケースだ。ケリーさんが勤めていたホテルは、チャオプラヤー川沿いに立てられた新興の5つ星クラスホテルで、周辺にはオリエンタル・バンコク、シャングリラ、ロイヤルオーキッドシェラトンのような名だたる有名ホテルが林立していて競争が激しい。過去にも、従業員の引き抜き合戦が派手に行われたり、競合ホテルがロビーの立ち入りまで禁止したとか、損害賠償もんの訴訟が行われたりと、すったもんだしているようなので、これも有り得そうな話ではある。(末尾にネーション英字紙の記事を掲載)

3.の理由は、当たり前と言えば当たり前で、ケリーさんの仕事柄、納入業者が多いような感じもするし、さっさと辞めてしまってメアドのような取引先情報も消去して残さなかったのだろう。そうであれば、本人辞職の通知を手軽に済ませるため、一斉同報できる広告を利用したということだ。ただ、本人の顔写真も名前も余りにストレートに公衆に明かされているので、甚だしいプライバシーの侵害ではないかと思ってしまうが、これも現地流儀なのだろう。

おいらは、どれを採っても当たりのような感じもするし、総てが重なり合って、今回の広告まで行き着いてしまったようにも思える。真相は闇の中、本人だけが知っているんだろう。実際、バンコク在住のファランが集うネットのフォーラムでも、ケリーさんの話題が取り上げられていて、大概の人が辞めた理由を上で挙げた観点でコメントしているので、当たらずとも遠からじといった線のようだ。

いやはや、バルコニー付きスーペリアー・スイートで、一泊205ドル=7千バーツ以上する高級ホテルをめぐるちょっとしたトピックがこの喧騒のバンコクを駆け抜けたんだが、一度はこの5つ星ホテルでも泊まってみたいもんだと、感慨にふける貧乏社長なのでありました。(この巻き、終わり)

ホテルの情報 : LEBUA AT STATE TOWER
住所 State Tower, 1055/111 Silom Road, Bangrak, Bangkok 10500, Thailand TEL +66-2-6249999 FAX +66-2-6249998 チェックイン 14:00 チェックアウト 12:00 交通アクセス 空港から車で30分、スカイトレインSAPHAN TAKSIN駅より徒歩10分 駐車場 有り 400台 無料

<タイ・ネーション紙の訴訟記事(2008年3月25日付)>

LIBEL ACTION

5-star hotels in courtOriental boss faces lebua suit Published on March 25, 2008
Oriental Hotel general manager Kurt Wachtveitl yesterday appeared in the Criminal Court to face a libel lawsuit involving the lebua Hotel.
"This should never have occurred," said Thai Hotels Association president Chanin Dhonavanik.
"What will the world think of Thailand when the world's best hotel is involved in a lawsuit like this? This is the first in Thai hotel history and will certainly damage our reputation."
In the lawsuit filed with Bangkok South Sathorn Criminal Court, the Attorney-General's Office charged Wachtveitl with defaming lebua.
lebua's owner, Challenge Hospitality, also sought compensation of Bt213 million in a separate civil lawsuit.
The plaintiff's witnesses will give their testimony on August 5, 6 and 8, while the defendant's witnesses will appear on August 13, 19 and 20.
Wachtveitl and his lawyer declined to comment to reporters.
In the lawsuit, the Attorney-General's Office referred to an e-mail signed by Wachtveitl dated November 30, 2006. In the e-mail, Oriental staff were told not to allow management of lebua and hotel developer the Challenge Group into the hotel. While citing that The Peninsula Hotel had lost 26 staff to lebua in two months, Wachtveitl said Oriental's renovated Chinese restaurant, China House, could be the next target.
"In order to reinforce our staff retention, do not accept any reservations (rooms or restaurants) under their names. Should you come across any management member in the hotel, please make sure they are escorted
out of the premises immediately," he said.
He also urged staff facing a challenge when doing so to contact the Security Department.
A lebua representative, who asked not to be named, said the e-mail was sent to general managers of nine hotels.
Another lebua source said the e-mail accused lebua of using dishonest means to seduce and buy staff from other hotels. The e-mail also urged other hotels to join the protest.
"This is not true. Slightly before the e-mail was written, we even ran a recruitment advertisement," she said.
Asource at the Oriental said the hotel had every right to guard against headhunting.
"The e-mail was meant as an internal memo for the management," she said, insisting it was never sent to other hotels.
Chanin said the legal battle would attract attention, because it was a very unusual case. In the hospitality industry, hotel operators normally avoid fighting with each other, no matter if they face tough competition or other hotels try to lure their staff, he said.
"I've never known such a case before," he added.
Achara Deboonme,
Suchat Sritama
The Nation

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