どっちの選挙も、二年前の軍事クーデターから時間を掛けて静かに進行してきたた露骨な「タクシン派つぶし」の総仕上げに加えて、昨年の混乱した政治情勢の影響を受けた結果と言えるだろう。アピラット前知事なんかは、前任者のサマック元首相が都知事の任期最終日に無理やり承認した”消防車・消防船の巨額購入”に関わる疑惑が尾を引いて、今になってそのとばっちりを受けて辞めざるを得なかったわけだ。
一方、29名の下院議員たちは、バラマキ政策に物を言わせて一昨年末に圧勝したタクシン派に組したせいで、軍、司法、官僚に根を張った伝統エリート層の反タクシン派から目の敵にされて、昨年末に憲法裁判所が起こした司法クーデターまがいの判決で政界追放の憂き目を見たことになる。
こんな状況で選挙戦が繰り広げられ投票日まで至った訳だが、貧乏社長はもちろん外国人なので参政権は無い。それでも、投票できなくたって、選挙はある種のお祭りみたいなもんだから、おいらの習性で興味は尽きない。日本に住んでた頃は、誰が当選するか気になって選挙速報を深夜まで飽きもせず、テレビに見入ってたりしていた。
それで、タイの地元ではどんな風に開票速報を番組で流しているのか見たくなって、夕方になってテレビを点けてみる。


このスクムパンおじさん、何となく温和でやさしい顔立ちなんだが、どっこい王族の出身で英オックスフォード大学で政治学、経済学の学位、米ジョージタウン大学国際関係学修士を手にした後、チュラロンコン大学助教授、チャーチャーイ首相顧問(1988―1989年)、下院議員、副外相を勤めるなど、超エリートの経歴が華々しい。
他方、下院の補選はどうなったのかと思ってチャンネルを切り換えてみると、日本の開票速報番組と似たような画面が現れる。もちろん、タイ語の画面だから何処の選挙区でどの候補が得票を伸ばしているのか分からないんだが、画面のレイアウトは日本のそれと瓜二つで臨場感が味わえる。違うとしたら、投票所の雰囲気が暑い国のせいで開放的な建屋で行われているのが面白い。


これで、当分は政治も安定して景気回復の目処もたったなー、それにしてもタイの選挙速報は日本と似たようなもんだなー、と色々考えた貧乏社長なのでした。
(この巻き、終わり)
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