おいらは、貧乏社長だと自認している。
日本にいるときは、年収だって天命を知る年齢近くなのに七桁の到達にはるかに及ばないし、職位だって課長代理に過ぎなかったから、人事異動の告示が社内で出たときは、何でこいつがタイへ行くんだ、本体の社長も道楽が過ぎるぐらいに思ったお偉さん方も多かったに違いない。
こいつは一理ある。
おいらが海外で営業してきた主力製品は、国内・海外の販売比率で見ると二割程度しかなくて、社内で幅を利かせる国内営業とは違って肩身の狭い思いをしながらの仕事だったから、評価なんてたかが知れてる。
ところが、おいら一人で一年に数億円を受注することもあったし、何カ国もの代理店を相手にして平均単価数十万円の製品を合計千台以上受注するような商売の年でも、部下も付かずに一人でこつこつやり通した分けで、それなりに大変だったが、今となっては誇りに思うところだ。
製造業の営業は、手数料稼ぎの薄利の商社じゃないから、工場などへの再投資やクレーム対策の利益の厚みも考慮しておかなきゃならないので利益の確保は結構シビアだった。まして、国が違えば顧客は、どえらい発想の持ち主が多くて考えられないようなクレームが頻発して、火消しに回るだけで精根尽きてしまうようなことも多かったわけです。それから、海外部隊は、言葉の壁もあってまさに外人部隊で、国内部隊を当てにできない現実もあったわけですが...
だから、ここに社長になって来ても有頂天になんかなれない。おいしい話には裏がある。日本人はおれ一人だ。現地スタッフが部下として手足になってくれるのはありがたいが、言葉の壁、文化の壁など壁だらけで煉獄にでも突き落とされた気分だ。まあ、サラリーマンが一生掛かってもなれない役職に有りつけただけでも上出来で、三国一の果報者と思いながら、舞い上がらないようにした。
かくして、おいらはバスに乗る。
BTS・地下鉄も運賃が割高だから時間に余裕の無いときだけ使う。タクシーは土地勘の無いバカ運転手に当たると苦労したので遠慮する。土日は運転手の経費が休日出勤で倍額になるから公務以外は、私用を差し控えることにした。これも、歴代社長の御触れにそっております。
こう話すと、なんて俺は過激吝嗇家のように思われてしまうかもしれない。でも、経営感覚と金銭感覚は表裏一体であって、現地給料が物価水準に照らし合わせて高給と錯覚しやすいところを自分なりに軌道修正しながら、自分の行動指標を現地の暮らし向き=生活視線で見る事が手っ取り早い解決手法なのだと、おいら考えた。それには、ひとつに公共交通を使うと物が見えてくるかもしれない。だから、バスなんだと。
前置き、またまた、長くなりました。これから、バスの乗り方ご案内します。
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