2009年11月8日日曜日

見た目が金魚なので食べられますかの巻き

いや、本当に見た目が金魚みたいで、どうも食べる気が起きないのである。



この魚、レッド・テラピアと言うのだが、タイの庶民にとっては最も馴染みのある大衆魚には違いない。毎週末に出かける大型スーパーのカルフール・ラマ四世通り店でも、必ず売られているし品切れになったことが無い。



魚売り場の一角は、意外に大きい。生魚から、干物、すり身、焼き魚、果ては調理済みのおかずまで、種類も豊富に売られている。その場で買った魚は、うろこと内臓を取り除いて、三枚におろしたり輪切りにして、蒸す・焼く・揚げるの中から選んで調理してもらえる。本当に重宝なサービスで、しかも無料と来ている。

こんなに至れり尽くせりのサービスは、使いこなさずにはいられない。ただ、最初の頃は、上さんも頼みたくても頼み方が分からずに尻込みしていた。その後、タイ語教室に通って読み書きの知識も深まったらしく、とうとうお手製の依頼メモをこさえてしまった。


それで、最近は下ごしらえの三枚おろしをちょくちょく頼むようになってはいたのだが、あの金魚だけはどうしても選べない。見た目が、今まで食べて来た魚の姿かたちとは絶対に違いがあるからだ。ただ、このさかな、鯛に味や食感が似ていて外見もクロダイそっくりなことから、日本では「イズミダイ」とか「チカダイ」の売り名で呼ばれたり、アメリカの日本すし屋では真鯛のネタ代わりに使われているようだ。意外と格上の扱いが判明したのだが、それも切り身あってのことだろう。


やっぱり生の尾頭付きを見てしまうと、どうも食欲が湧かない。どうもこれは、家庭で調理せずにレストランで皿に盛られた料理に舌鼓を打つのが良さそうだ。さて、このテラピィア、今やタイ全土で養殖が盛んで、庶民の食卓を飾る大切な蛋白源となった。しかも、面白いことに、もともと地元に生息していたのでなく外来種なのである。

今を去ること約45年前、当時日本の皇太子であらせられた明仁天皇から、タイのプミポン国王に50匹のテラピアを贈られたのが、嚆矢になるらしい。その経緯は、ネットで検索するとたくさん紹介されているから、興味があれば簡単に探し出すことができる。

と言うわけで、テラピアは、タイ国民の食糧事情に貢献した日タイ友好の証のような魚なわけです。となると、見た目もさることながら来歴も畏れ多くなってしまって、何となく食べづらくなってしまった貧乏社長なのでした。
(この巻き、終り)

4 件のコメント:

zin さんのコメント...

これ、正確には平成天皇が送った魚ではないですね。
天皇が送った魚はタイ語名を「プラーニン」として今では庶民の食卓に上っていますが、プラーニンは黒っぽい肌合いです。
おそらくプラーニンの品種改良版「プラー・タップティム」じゃないかと。。。

っつうことで、どんどん食べて下さい。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

zinさんへ、
テラピアって魚ですけど、愛知県名古屋市 荒子川で、太公望たちが盛んに吊り上げています。結構、日本各地で見かけられる魚みたいですね。雑食で水の汚れにも強くて、最近の温暖化傾向で棲み易くなったのでしょう。
http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M000616_1.htm
ネットで調べてみた限り、この赤いテラピアが平成天皇から養殖用として贈られたのかどうかを断定できなかったので、”嚆矢とする”表現に止めました。それに、カルフールでは黒いテラピアも盛んに売られていますので...

ドラえもん さんのコメント...

私はどうも淡水魚系の魚が苦手で・・・・。
ウナも淡水魚系ですかね。
ウナギは好きです。

泥臭い感じが好きになれません。
塩焼きを食べる時は醤油をかけています。

イサーンでは海のものを望んでも無理なので、何とか料理を工夫してナマズやテイラピを美味しく食べられないかと思っています。

魚をさばいたことも無いのでなかなか難しいですが、料理を作った時は紹介しま~す。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

どらえもんさんへ、
タイの魚は、正直に言いますが、淡水魚だとかなり泥臭いですよね。それに、こちらではカリカリに油で揚げて日持ちが良い様にしますので、魚本来の料理の感じがしないんですよ。
上さんと話したんですが、テラピアの三枚おろしならムニエルにすると美味しいような気がしますので、挑戦してみます。