2009年2月22日日曜日

本国送還されたオージー兄ちゃんの巻き

貧乏社長にとって、オージーとえばビーフぐらいしかしか思い浮かばないんだが、この”ハリー・ニコライデス:Harry Nicolaides”と言う御仁は、タイの安寧秩序を乱すが如く犯罪者としてマスメディアに登場して来たことから、この単語を改めて思い返したわけ。まあ、要するに英語で"Aussie:オーストラリア人”を指すんだが、彼はギリシャ系キプロス人のオーストラリア国籍を所有と言うことらしい。
こやつは、昨年8月にお手にお縄が付いて豚箱行きとなり臭い飯を食う羽目になっていたようだが、自分の諸行の因果で現地有力英字紙:バンコクポストの一面を大々的に飾るとは思いもしなかったのではないかと、おいらは考えている。(以下、彼をニコちゃんと呼ぶ。)

どんな過ちを犯して捕縛されたのか?

それを話すのも憚られるんだが、要するに王室に対する”不敬”を働いたのが原因で、この法律に抵触すると3年から15年の懲役と言うきつい裁きが待っている。ニコちゃんは、裁判の結果、6年の判決だったが罪一等を減じて3年に減刑すると言う寛大なる仕置きが、先月に下されていたわけである。

この不敬罪は、タイでごく普通に生活している外国人にとっては、日常、ほとんど関わり合いの無い法律なんだが、現地庶民がこそこそ噂をしているようなことをブログや本に書いたりすると、とんでもない事になりかねない。ニコちゃんは、大学講師として2003年から5年にかけてタイのチェンライに滞在したんだが、そのときに書いた自費出版50部の小説集が仇となったようだ。十冊も売れなかったそうだから巷間を賑わすには程遠く、多分買って読んだ一人が警察に通報したんだと、おいらは考えている。

タイトルは、
 ”Verisimilitude 【名】本当らしいこと、真実味、迫真性”
と言って、当局者の神経を逆なでしやすい題名だと思わずにはいられない。

面白いのは、ニコちゃん自身がウイキペディア:Wikipedia(英語版)に堂々と顛末まで含めて紹介されてしまっていることだ。問題となった描写も、そこであらまし触れられているから、興味のある人は訪ねてもらいたい。(ここで紹介したら、おいらも危ういので堪忍ね。)

さて、このニコちゃん、タイに来る前は一流ホテルのコンシェルジェをしていたらしく、そのときの経験を活かして一冊の本”CONCIERGE CONFIDENTIAL: HOTEL STORIES”を書き上げているようだから、モノ書きとしての力は元来あったようだ。ただ、この本の書評を英語で呼んでみると、”本は破壊的で不敬、ホテル産業の最もタブーな領域に体当たりしている”とかで、そのノリを受け継いで安易に自費出版小説を出したんだとしたら、悔いても悔い切れないだろうと思ってしまう。

まあ、要するにこのコンファラン=白人さんは、ご当地の掟を本音と建前から峻別できないまんま、書き上げてしまって出版したと言うことなんだろう。フーテンの寅さんだって、”それを言っちゃオシマイよ”と決めゼリフを言ってるぐらいだから、自重は必要だったんだろうなあーと感じてしまった。

それにしても、本が出版され、逮捕状が発行された08年3月まで二年間程度の時間差があるんだが、これは何を意味しているんだろう。ウイキによると、ニコちゃんは厳しい刑務所暮らしの中で、国際武器密輸団の黒幕でタイに潜伏中、逮捕されたロシア人商人:ビクトル・ボウト被告に出会ったことを、面会に来た記者に話している記述が見受けられる。このボウト被告が逮捕されたのは3月で、ニコちゃんの逮捕状発行時期に重なってくる。何か関係があったのだろうか、それとも、ひょっとしたら別件逮捕だったのだろうか?

おいらもこれ以上、要らぬ詮索はしないほうがいいだろう。それが、タイに在住する外国人の分別と言うもんだ。ところで、ニコちゃんはプミポン国王のお慈悲による寛大な恩赦もあったんだが、この2月21日に母国のメルボルンへ無事に送還された。本人は、もうタイへ来ることは出来ないだろう。

海外で暮らすってことは、いろんな事があるから十二分に気を付けなくちゃと、気を引き締めた貧乏社長なのでした。(この巻き、おわり)

*おまけ:BANGKOK POST AND AGENCIES (Jan. 20. 2009)

An Australian author and former university lecturer has begun serving at three year prison sentence after being convicted yesterday of lese majeste in a novel written more than three years ago.

Harry Nicolaides, 4l, pleaded guilty to the lese majeste charge in the Criminal Court based on a passage in his book Verisimilitude published in 2005, with only a handful of copies sold."He has written a book that slandered the King, the Crown Prince of Thailand and the monarchy," the judge said.

The court initially gave him a sentence of six years in jail, but commuted the sentence by half to three years after he confessed. He presented the court with written testimony.Public prosecutors accused Nicolaides of publishing and distributing a book with content deemed offensive to the royal family. The offences were committed in Chiang Rai and Bangkok’s Ratchathewi district.

"He was found guilty under article 112 of the Criminal Law," the judge said.

Before the hearing, Nicolaides told reporters in a tearful voice: "l was aware there were obscure laws [about the monarchy] but I didn't think they would apply to me.

"I would like to apologise. This can't be real. It feels like a bad dream."

Nicolaides said he had "unqualified respect for the King of Thailand" and had not intended to insult him.

He broke into tears upon hearing the verdict and emerging from the court to meet friends who arrived at the court to give him moral support.

A gaunt-looking Nicolaides — who has been in custody for nearly five months - told reporters as he felt the court he felt "dreadful", adding: "I wish my family the best".

Nicolaides has 30 days to appeal the ruling.

His lawyer and relatives said he would seek a royal pardon, with Nicolaides's brother, Forde, describing the family as devastated."It is not Harry's intention to appeal. but he is considering a pardon application, which can occur through a mechanism directly with the palace? Forde Nioolaides told the Australian Associated Press from Melbourne."

It's quite devastating for us. The whole case has been a massive emotionalordeal that has consumed our entire family. It's beyond belief."

The Melbourne based Australian entered Thailand in 2003 and was a lecturer in social psychology at the Prince of Songkla University before moving on to teach tourism and hotel management at Mae Fah Luang University in Chiang Rai.

He was detained at Suvamabhumi airport on Aug 31. 2008 on an arrest warrant issued two and a half yearsearlier. He was later handed over to police. No bail was granted for his release since his arrest.

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