2008年10月12日日曜日

市場原理主義者達は、世界ネズミ講の巻き

貧乏社長は、昨今の経済・金融の国際情勢が気になってしょうがない。

タイの経済も、総貿易取引額の半分以上を輸出に依存している関係上、得意先のアメリカ・EU・中国・日本の景気がダウンして輸入が落ち込んでくると、そのあおりを受けて不景気へ移って行くというお決まりのパターンなんだが、おいらが切り盛りしている会社も、その影響の余波を多かれ少なかれ受けるだろう。もっとも、得意先のお客さんは国内がメインだから、他の日系で輸出中心のような企業と違って、景気の落ち込みが業績に直接反映することが少ないかもしれない。

むしろ、国内経済へボディーブローのようにじわりじわりダメージが聞いてきたときに、世間の暮らし向きがどんな様相を展開するのか気になってくる。

おいらがタイへ来る前、日本で仕事をしていた頃となると、大半が”失われた10年”へオーバーラップしてくる。あの頃は、貸し渋りやら貸し剥がしやら、庶民も企業も金回りが悪くて不景気なもんだから、昇進にも縁遠く仕事に有り付けさえすれば御の字で、給料も定期昇給ぐらいしかなかった。質素に地味で慎ましやかに生きてきたというのが本音だ。早期退職で会社を去った人も数多くいたし、肩叩きで辞めざるを得なくなった諸先輩も多かった。

個人的に言うと、なけなしの財産をMMFやら株券にして財テク運用していたんだが、その預け先の三洋証券が97年に破綻してしまってかなりあわてたりとか、北海道拓殖銀行が破綻して就職していた大学の同期が失業しそうになったりと、何かと沈みっぱなしの激しい時期だったような気がする。

今は廃止されたけど、住宅金融公庫の”ゆとりローン”なんかを組んでマイホームを購入していた人もいた。最近では「日本版サブプライムローン」とも言うらしいんだが、アメリカと違って、ローン返せなくなっても住宅売って清算して残ったローンは完済しなきゃならないのが日本国の掟なわけで、人生の後半生に圧し掛かってくる重圧は大きい。離婚だ、蒸発だ、やれ一家離散だ、のような話は日本にいた頃は当たり前になってしまっていた。

こう言う悲惨な状況を見てきたんで、アメリカのローン返済なんて可愛いもんだと思った。返せなくなったら家を返却してチャラと言うのはうらやましい限りだと思う。こんな手軽な、ノンリコースローンとか言う、借り手甘やかし商法は、インチキ以外の何物でもない。しかも、サブプライムとか言うローンは、返済能力に?マークの付く消費者向けだから回収できない恐れの方が高かったはずだ。

どうして、こんな無法な詐術がアメリカで普及したんだろう。日本だったら、端から受け入れられようが無いと思うのだ。

おいら思うんだけど、これはかなり危険の伴う、限界点以上の信用創造を行った結果なんだろうと結論する。もちろん、専門家じゃないから、正しい用語の使い方はできないが、単純に言えば借金のかたになる実物が無いけれど、半永久的に暮らし向きも懐具合も良くなるはずだから、思い切って融資しちゃいましょう、それで貸し倒れしたって景気がそのまんま上向きっぱなしだから業績が相殺しちゃうんでOKですよ~ん、ぐらいのイケイケのりではなかったかと思うのだ。

これに加えてもっと性質が悪いのは、金融工学の錬金術師たちがこのからくり作りに加担したことだと思う。ITやら確率論やら統計学やらもっともらしい技法を駆使しながら、将来がばら色になるような仕組みだけで占い、一方では回収できない場合の万が一を考えて、その素性の悪いローンを一まとめにして、回収できなかったときに代わって補償してくださいね~、ぐらいの気持ちで、取引に応じた相手から債務保証の手形を振り出してもらう。

この手形こそ、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と言う奴なんだろう。

一種の保険だから、受取人は掛け金を払うことになり、ローンが受取人の手で無事に回収できれば、振出人は掛け金が利益となって儲かりまっせ、と言う図式だ。

以上はおいらなりの単純化した理解なんだが、要するにローンのたらい回しをしてババを誰かにつかませる商売なんだろうと思う。これには、債権を売り出した企業がどれぐらい信用できるか格付けも必要なわけで、よく聞くムーディーズなんかのアメリカ国債:Aaa格付けとかはその類なわけだ。

こうして、ローンがローンを呼び、世界中の金融機関を巻き込みながら、金融モデルは華々しく仮想マネーを膨張してゆく。今まさに臨界点に達して、ガラガラポンなのかもしれない。物には限界ってものがあるんですよ、アメリカ人は分相応と言う言葉を知らないらしい。

かくして、米国の有名な投資家ウォーレン・バフェットも、すでに02年の時点で、CDSのことを「金融の大量破壊兵器」と呼んでいた時限爆弾が、欧米で炸裂してしまった。今更、どう奈落の底に落ちようが自業自得なのかもしれない。イギリス最大の銀行HSBC(香港上海銀行)の会長スティーブン・グリーンも、銀行協会の本年次総会の講演で、レバレッジの拡大で儲ける金融ビジネスモデルそれ自体が破綻していることをすでに認めてしまったが、この後に紅毛人たちにどんな艱難辛苦が待ち受けているのか本当に分かっているんだろうかと思ってしまう。

おいらたち、日本人は”失われた十年”で十分だと思う。
彼らは、何年で乗り切るのだろう。とばっちりが日本やこのタイに来ないことを祈るだけだ。

そして、アメリカにはこれ以上、諸国民を不幸にさせる影響力を行使しないように祈るだけだ。もし、小浜大統領候補が当選したら、クリントン政権下で財務長官を務めた鞘取りルービンが経済顧問に舞い戻ってくる。CNNのインタビューで彼はこう言った、”公共投資(橋、道路、港湾、空港)などのインフラ整備によって、雇用を創出する...” これは、1930年代の大恐慌時代のニューディール政策と瓜二つだ。でも、この政策は景気回復につながらず、第二次世界大戦が景気回復をもたらしたのは事実です。さいごの解決手段が戦争だったのです。

世界人類が皆平和でありますように...(この巻き、おわり)


<参考文献>
マスコミに載らない海外記事:ドルは90パーセント下落する:ジェラルド・セレンテ
http://eigokiji.justblog.jp/blog/2008/01/90-d115.html
2008/01/24付け

株式日記と経済展望米国の、日本の経験に対する不当な評価の根底には、拭いがたい日本蔑視の観念がある http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/9b682114012e5971d5414aa604d246b2
2008年10月11日 土曜日

阿修羅中国の政治リーダーたちは手強く、中国は日本よりも建設的な役割を果たしている(ロバート・ルービン元米国財務長官)http://www.asyura2.com/0505/hasan42/msg/403.html
投稿者 TORA 日時 2005 年 9 月 19 日

隼速報//「隼速報」は、「隼機関」の機関ブログです
2008/10/11 (Sat) 「NYダウ乱高下」
http://falcons.blog95.fc2.com/blog-date-200810.html

今まさに瓦解する市場原理主義/SAFETY JAPAN経済アナリスト 森永 卓郎氏http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/column/o/154/index.html
2008年10月6日

阿修羅見苦しい「時価会計の放棄」が公然と始まった。 投稿者:副島隆彦投稿日:2008/10/03
http://www.asyura2.com/08/hasan58/msg/682.html
投稿者 新世紀人 日時 2008 年 10 月 03 日 15:30:50: uj2zhYZWUUp16

大恐慌のアメリカ (岩波新書) - 林 敏彦 (著) http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E6%81%90%E6%85%8C%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9E%97-%E6%95%8F%E5%BD%A6/dp/400430038X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1223788604&sr=1-1

クレジット・デフォルト・スワップ (CDS)出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AF%E3%83%83%E3%83%97

【緯度経度】ワシントン・古森義久
オバマ氏のタブーとは
10月11日8時1分配信 産経新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081011-00000061-san-int

田中宇の国際ニュース解説世界はどう動いているか米英金融革命の終わり http://tanakanews.com/080708bank.htm
2008年7月8日
田中 宇アメリカ型金融の破綻
http://tanakanews.com/080712bank.htm
2008年7月12日  田中 宇

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