2010年3月10日水曜日

我が家の二番目のお客さまは、チンチョさんの巻き

引っ越しも終わって、早一週間が過ぎてしまいました。

今度の新居は、風通しだけを重視したのです。
部屋は総て北向きに作られていて、日の当ることはまったくありません。
ベランダの向かいには、背の高い樹木が育っています。
こんもりと枝葉が緑の景観を作り、気分的に暑さを凌いでくれます。

日中は、玄関のドアにチェーンをかけ、少しだけ空けて空気の流を作ります。
南側に面した階段通路から、風がさわやかに流れ込みます。
階段の通路は、明かり取りのために全面ガラス張りです、
そこに何ヶ所か設けられた窓が常に空けられているせいです。

フアーッと自然の空気の流が家の中に注ぎ込む。
玄関がちょっとあいているだけで、感じてしまうのです。
日中は扇風機を回しているだけで事足りてしまいました。

やっぱり、このアパートに引っ越してきて良かった。
一日を家の中で過ごすことの多い上さんは、喜んでいることでしょう。

ただ、困ったことが一つだけありました。
風が流れてくるおかげで、蚊も流れ込んでくるのでした。
七階だから上がってこないだろうと、最初は思ったていたのです。
ですが、ふらふらと時折舞い込んできます。

前のアパートも七階でした。
やっぱり、蚊に刺されることが多かったのです。
今回も、露出している肌の部分で血を吸われてしまいました。
こんな時は、香取線香でも炊いて難を逃れることに致しましょう。

さて、二人だけの生活は意外に静かなものです。
訪問者もありません。
ただ、玄関を少しばかり空けているせいなのでしょう。
階上にすむ家族のお子さんが、他人の生活に興味があるらしく、じっと覗き込んでいるようです。
子供は何でも興味を持ちたがりますね。
致し方ありません。
だから、ドアから中を見られない様に簾を掛けておきました。

そんな頃、夕方、明かりもともさずにパソコンに没頭していました。
何かしら、チーク材の床をゴソゴソ這う物影があるのです。
ゴキブリかもしれない、やっかいなことだ。
ゴキブリホイホイでも仕掛けて退治しようか。

上さんにも声を掛けます。
女性はゴキブリが大嫌いです。
早速、戸棚から仕掛けを出して来ました。
後は、見かけたテレビ台家具の床隅に置きます。

すると、その当たりでスルスルとまたまた動いていました。
おやっ、尻尾みたいなものがあるし、四つ足だよ。
でも、茶色だしなー。
じっと辺りを見守っていると、もう一度、テレビ台の床から、ひょっこり出てきました。

ヤモリさんでした。



ヤモリさんは、家守りと書くぐらいで、家の守り神さまです。
日本ですと、ヤモリさんが家に居る間は悪いことが起きないと言います。
そうか、訪れてくれたんだ。
きっと、このアパート生活も大過なく過ごせるだろう。

タイ語で、チンチョさんって言うのですが、かわいらしい語感の響きですよね。

きっと、タイの人たちも愛らしく感じてるんだろうと思いました。
何せ、家の中でぶーんと飛び回る蚊のような昆虫を食べてくれるのです。
人さまの生活を手助けしてくれるのはありがたい。

と言うわけで、今回は床だけでしたが、壁や天井を這うヤモリ君を見かけたら、本当に住み付いてくれたんだなーと喜ぶ自分の姿を、想像する道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)

4 件のコメント:

Art_Blue_Liberalism さんのコメント...

うーむ、久しぶりに東洋の美しい自然との融和文化を噛み締めました。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

Oblige347さんへ、

ヨーロッパの北部ではセミが鳴かないと聞いたことがあります。

それで、NHKが時代劇のドラマをヨーロッパで放映するとき、夏のシーンで欠かせない、背後に聞こえるセミの鳴き声を消してしまうのだと聞きました。

それは、かの地の人々は、セミの鳴き声を知らないので、ノイズだとテレビ局に苦情を申し立てるのだそうです。

やっぱり、気候がかなり違うのでしょう。

因みに、北海道は亜寒帯気候に入るので、自然の雰囲気は欧米に似ていますが、夏の頃には、ニイニイゼミもヒグラシも鳴くのです。

そして、タイでセミはもちろん鳴きますし、ヤモリも日本と同じように住んでいます。

そんな、アジアと言う区分は、生き物を見てもちゃんとあるのだと感じています。

南風海治郎 さんのコメント...

ヤモリ

沖縄方言では「や~る~」と言います。

家を護る縁起者であります。

沖縄に下宿するまでは見たことありませんでした。

最初の下宿先が、窓際に電灯看板があり夜通し煌々と点いています。

だから虫達が集まる=ヤモリ一家が集う。

爬虫類が苦手な私は鳥肌が立ってました。

しかし、厚手のカーテンをしても看板が明るすぎて部屋はモノトーン。
実に彼女と過ごすには最適でありました。

鳥肌<<彼女との最適な照明効果が勝ってたんですな。


しかし、これが鳴くんですね。
「きゃっきゃっきゃ」って。

あ~~~また俺を見て笑ってやがるな!
と、思っていました。

が、ある日寝ているときに天井から私の顔にボトって落っこちて来ました。

「きゃっぎゃっぎゃ~~~」と叫ぶと
や~る~は
「きゃっきゃっきゃ」っと笑っていました。

ヤモリだけに「んなこたぁ~ない!」

チャンチャン

ぐりぐりももんが さんのコメント...

海治朗さんへ、

沖縄は”ヤールー”ちゃんですか。

日本語のヤモリにちょっと似たような言葉の響きなんですね。
方言には、”かべちょろ”って言う言い方もあるようです。これも動きにぴったしの言葉ですね。

実を言うと、北海道にヤモリは住んでおりません。ゴキブリも、昔は生息していなかったのです。

ですから、道産子の自分が生まれて初めて見たのは、日本でなくて異国の地:バンコクにおいてなのでした。
三十年近く前にバックパッカーで海外放浪をした最初の国、それがタイで、このとき初めて両方とも見たのです。

その時は、びっくりより好奇心が勝っていて、これが噂に聞く、生き物なのだと思ったものです。

やっぱり、北海道は内地と違うのかもしれません。