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工場長が招待してくれた別宅にたどり着くには、バンコクから北に向かってパトンタニ、サラブリ、ロッブリーの各県を走り抜けてペチャブーン県まで駆け抜けなければならない。幸いにして、国道1号線、21号線、12号線と主要幹線国道を使うので、飛ばせることは飛ばせるにしても、5時間半ほど掛かってしまった。
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次に、彼が月に一回通う家は、国道12号線でナム・ナオ国立公園を横断した後、左折して県道2216号線に入ってから、数キロほど上りあがったコック・モン(Kok Mon)と言う集落にある。この地帯はナムナオ地区と呼ばれていて、中心の市街はこれからさらに十キロくらい運転する必要があると説明を受けた。
この地域はペチャブーン県にの北東の一角に面しているので、地図を見たら三つの県と隣り合っているのが分かる。北は、ルーイ県、東はコンケーン県、南はチャイヤプーム県だ。
ナム・ナオの所在するペチャブーン県自体は、自分も始めて訪れる地方だけあって、情報は詳しく無かった。それで、道すがら工場長が教えてくれたのだが、そこは特産の果物タマリンドがペチャブーン・ブランドとして有名なのだそうだ。
実際に、県庁所在地のペチャブーン辺りで道路わきにタマリンドのキャラクターシンボルの象を見かけてしまったし、途中立ち寄った土産物屋でもこれを加工した食品を多く見かけた。自分も試食のついでと言ってはなんだが、その漬物パックを買ってしまったのである。酸味の無いカリカリ梅みたいで美味しい。
さて、到着した場所の地名:ナム・ナオと言うタイ語は、簡単に言えば「冷たい水」だ。タイ北部の山間地域だから、気候も涼しくて水の冷たい地域と言う意味があるのだと思う。実際に現地で寝起きして分かったのだが、11月からの乾季を迎えたこの時期、朝方の冷え込みは意外に厳しい。たまさか、北方からの寒気団が流れ込んで来たとは言え、気温がいとも容易く15度を下回ってしまった。用意してくれた薄めの布団では寒くてブルブル震えも来てしまう。
ただ、日中は気温があまり上がらず、この時期になると30度に届かないようだ。とても過ごしやすい雰囲気があるので、涼を求めて都会からお金持ちがやって来そうな場所だと思う。現に、色々な場所を案内してくれた工場長が、ここの建築現場はテレビ女優の持ち物だとか、見晴らしのいい土地は、値段がものすごく上がっているとか話してくれる。
つまり、ここはタイの軽井沢なのである。
と言うわけで、ナムナオについて手始めに簡単な紹介だけをさせてもらいました。次は、何を書こうか思案しながら書くつもりなので、行き当たりばったりなるかもしれません。それでも、思い出を残しておくのは良いことだと思った貧乏社長なのでありました。
(この巻き、終り)
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