2009年11月17日火曜日

バンコクポストで見る今日のタイ(その4)

英字紙のバンコクポストは、毎日欠かさずに目を通して来た。

今回も、まずは9月分として話題性のある印象的な写真を、携帯の付属カメラを使って溜め撮りしておいたので、コメント付きで紹介させていただく。
あきもせずにこつこつ接写しているんだが、写真付きの記事を見ていると、文字だけでは分からないお国柄やら生活風土を感じることも多い。そして、日本とつい比較しようとする自分の存在に気が付いて、ここは海外なのだと改めて認識させてくれるのである。


★追越し車線の生命


維持保守作業員が、ラチャヨーエティン立体交差橋で信号灯を取り付けている。この立体橋は、パフォンヨーティンとラチャダピセークの道路が交差する地点にあり、昨夜の真夜中に改修のため一ヶ月間、部分的に閉鎖された。市外方向の車線は、二週間にわたって閉鎖される予定。

解説:
日本だったら、こんな労働者の作業条件は、絶対に許されない。大抵は、通行止めにするか、作業場所のすぐ脇の車線は通行止めにして、安全なエリアを確保してから作業に着手するのが絶対だろう。
これに対して、タイの労働安全衛生は一応法的に整備されたとは言え、現場の実情を新聞の写真付きで紹介しても、社会問題化しない程度のゆるさではある。ところがそれでも、蛍光反射ベルト付きの安全チョッキを、申し訳程度に着た上で作業しているのが皮肉に感じてしまうのだ。作業が終わったら、どのようにして作業場所を安全に離れろと言うのだろう。
ただ、10年前だったら安全チョッキすら着ていなかっただろうから、ちょっとは進化していると言うことなのだろう。

<原文>
Life in the fast lane
Maintenance workers install signal lights on the Ratchayothin flyover, at the intersection of Phahol Yothin and Ratchadaphisek roads. which was partly closed for a month for repairs at midnight last night. The outbound lane will be closed to traffic for the next two weeks. JETJARAS NA RANONG


威勢の良いお祭り


中国に先祖を持つタイ人の一団が、スパンブリーの通りを練り歩いて地元っ子の意気込みを見せています。このお祭りは、例年のシン・クラジャ(空っぽの籠)の儀式の開幕を告げるもので、食料や必需品が貧しい人々に配られます。

解説:
この記事を読んでいて、スパンブリーがどこにあるのかなのかハッキリしなかったので、調べてみた。すると、バンコクから北西に向かって百キロほどにあり、観光で有名なアユタヤとカンチャナブリにはさまれた比較的地味な県と言うのが分かった。
それにしても、写真を見る限り、どこか中国の大陸で行われたお祭りと言われてしまえば、そのまま疑うことなく信じてしまうほどの中国然としたお祭りである。タイと言う国は、もともと華僑は多いのだが、これほどご先祖様の風習文物を守り通している地域は珍しいかもしれない。
ただ、この地域は、アユタヤ時代には重要な軍事上の境界線となっていたらしく、その頃から華南地方やら潮州あたりから大量の華人が流れ込んで住み着いたのだろう。その子孫達が、しっかり伝統を受け継いでいると言うことだ。

<原文>
A spirited celebration
A group of Thai-Chinese descendants honour local town spirits along a street in Suphan Buri to mark the opening of the annual Thing Krajad (Emptying Basket) ceremony, where food and
necessities are handed out to the poor. PATTANAPONG HIRUNARD 


新しいものと古いものの融合


ニミット・ロドルブーン氏は、芸術大学の先生で、タイの伝統的な生活様式を政府庁舎の壁画に描いている。作業は、首相官邸の改築計画の下、インフルエンザの脅威のような今日的問題にも触れている。

解説:
タイの伝統絵画と言えば、庶民に善行を説き、仏の教えに従うよう帰依心を起こさせる仏教画がほとんどな分けだ。どちらかと言えば、厚塗りで輪郭を強調した画風がタイ絵画の最大の特徴となってる感じがする。この先生もそんな作風が見て取れるのだが、遠近感が無視されたり、背景の描写が省略されて主題となる事物を中心に描いたりする手法は、日本画の作品でも見受けられるのでアジア的な感覚は同じなんだと思う。

<原文>
A mix of old and new
Nimit Rodrubboon, a teacher from the College of Fine Arts, paints a mural on a Government House wall depicting the Thai traditional way of life with a touch of current issues such as the flu scare, under a project to renovate the Office of the Prime Minister. PRAKITJUNTHAVPNG


巨人の殺し屋、故郷に錦を飾る


タイ女子バレーボールチームがアジア女子バレーボール選手権大会で初めての勝利を物にして、ハノイからスワンナプーム国際空港に戻った時、周囲は笑みであふれていた。日曜日の決勝戦では、11回チャンピオンとなった中国を、歴史的な逆転により勝利を勝ち取った。11月に日本で行われるワールドチャンピオンカップ決勝大会の出場切符も手に納めている。

解説:
近年アジアで急速に力をつけてきたのは、タイ代表ではないか言われていたんだが、中国を3対1で下して優勝ををもぎ取ったのは、驚きだった。過去中国と日本しか優勝していなかった同大会において、それ以外の国が初めて優勝したというのも凄い。さすがの中国も、格下相手に敗れてかなりのショックだったようで、そんな雰囲気を撮影した画像がネットで見受けられる。
ちなみにこの大会で日本は3位だったのだが、今月のグラチャンでも芳しくないようで、総合成績を2勝3敗とし全体の4位で終り、メダルを逃してしまったのは残念ではある。その代わりに、新しいホープとしてタイのチームにがんばってもらうのも良いかも知れない。

<原文>
Giant-killers return home
There were smiles all round when the Thai women’s volleyball team flew into Suvarnabhumi airport yesterday from Hanoi following their first-ever victory at the Asian Championship. The team scored a historic upset over 11—time champion China in the final on Sunday. The win also secured a place for ThaiIand in the World Grand Champions Cup tournament in Japan in November. SOMACHAI ROOMLARD

※9月分は、その5に続きます。
(この巻き、終り)

2 件のコメント:

overdope さんのコメント...

こちらにはお初です。
最初の写真はタイっぽいけど危険ですよねw
友人がバンコクマラソンに出るんで週末行くそうです。 深夜3時半スタートでずっと高速走るんだとか・・・。

ぐりぐりももんが さんのコメント...

Overdopeさんへ、
コメントをありがとうございます。
タイっぽいといえば、労働安全衛生法についてです。工場の操業環境温度は、上限が摂氏38度だそうです。総務課長が監督官庁の役人さんから聞いたので間違いないそうです。日本人だったら熱中病で倒れてしまいそうな気温ですね。
因みに、ドイツでは摂氏25度以上になると正常な思考がしづらくなる温度と規定していて半ドンになるそうです。
ヨーロッパ人から見たら、タイの労働環境は地獄と思うでしょうが、現地の人はなんてことは無く働いています。
そりゃそうでしょう。彼等の皮膚感覚は違うんですよ。35度を超えてから厚く感じる、20度を切ったら寒いと感じるのが、タイ人の一般的な常識です。