2010年1月21日木曜日

賃上げ率見りゃ、タイに住みたいの巻き

ようやっと、今年の賃上げ交渉も終了しました。
弊社には、労働組合がありません。
ですから、丁々発止の交渉とも無縁です。
大株主の日本側へ了解を取ったら、さっさと社内へ通知するだけです。

交渉は、実に事務的に始まります。
地元の幹部職員が、要求賃上げ率のオファーを説明しに来るのです。
もし、それが来ないのなら、上げる必要もないので、社長はラッキーです。
生産コスト増のことで悩んだり、心配する負担が軽くなりますから。

ですが、従業員も生活が懸かっていますから、絶対に来ます。
今年も、A4一枚くらいの資料を持参して来ました。
各年次の賃上げ実績と、今年の賃上げ想定でA~C案と三案くらいが並んでいます。

毎年の数字が古い順で並んでいました。

2006年:6%、
2007年:5%、
2008年:5%、

と来て、去年は2%と極端に低かったのでした。

これもやっぱり、リーマンショックによる国際金融危機の煽りを受けた景気後退のせいです。
実際に、どこの日系の工場も、稼働率が三割程度、落ちてしまいました。
これは、実を言うと四五年前の水準なんです。

賃金は、高率で上昇しているのに、生産高は後戻りしてしまった。
そうなりゃ、賃上げはできない。
聞くところによると、ゼロの会社もたくさんありました。

でも、労働組合が存在している大手の日系企業は、不用意に上げてしまった。
景気の落ち込みが分かりだした頃に、労使交渉で妥結してしまったらしい。
会社は、5%以上を約束させらたようです。

日本は、ここ最近1~2%も上がれば最高ですよね。
それに比べたら、こちらの賃金上昇は、夢のような話しでしょう。
それで、三つの案を見てました。

A案:4%、
B案:5%、
C案:6%、

なるほど、昔の上げ率に戻った印象があります。
でも、端数が無いのです。
日本なら、小数点第二位まで、せこく細かく算出します。
これまで、前任者が鷹揚だったか、それとも、数値の把握がおなざりだったのでしょうか。

しかも、幹部の説明する世間相場の賃上げ率は、みんな小数点第二位までです。
じゃあ、わが社も、ちょっとお追従して、小数点第一位までカウントすると、宣言しました。
給与計算上は、難しくないのでご随意にと、幹部も承知しました。

これで、初めのプレゼンは終わりです。
今度は、自分が査定しなくてはいけません。
タイは、統計データが比較的、豊富に入手できます。
各種コンサルタント会社の調査結果をデータで並べてみました。

幹部の説明:5.22%
米ヘイグループ調査:5.5%
米コンサルティング大手ワトソンワイアット:5.34%
米ヒューイット・アソシエイツ:4.7%

幹部達は、去年が抑えられたから、今年は6%が希望です。
確かに、去年の業績は、三~四年前の好調時に復帰しました。
でも、リーマンショックみたいな話しが何時起きるとも限らない。
しかも、世間相場は、おそらく5%前半が多いと踏みました。

それで、幹部の説明にちょっと色づけした数字にしました。
ちょっと、不満のあるような金額で十分なのです。
それに、これぐらい支給してあげれば、夜道を歩けなくなると言うのも無いでしょう。
いやー、タイの人も、恨みに思えば暴発します。
何をされるか分からないので、気をつけるに越したことはありません。

こうして、賃上げ率をあっけなく決めることができました。
でも、これができるようになるには、こちらのビジネスに慣れることなんです。
日本側への伺いも比較的にすんなりと通り、あっけなく社内へ通知のできた道産子社長なのでした。
(この巻き、終わり)

<おまけ>
【タイ】来年の賃金上昇率5.5%に=米ヘイグループ調査
24日付のタイ紙プラチャチャートラキ(1面)が米経営コンサルタント大手ヘイグループの調査結果として報じたところによると、タイの2010年の賃金上昇率は5.5%となる見通しだ。
業種別に見ると、エネルギー・天然ガス事業の昇給率が最も高く、6.07%上昇。次いで消費財産業5.74%、工業5.31%、金融5.11%の順。 また、平均賞与(ボーナス)は2.86カ月分で、最高は工業の3.04カ月。次いでエネルギー・天然ガス2.99カ月、基礎原料2.95カ月、金融2.6カ月などという。(時事:11月24日付配信)

【タイ】米コンサルティング大手ワトソンワイアットがタイ国内の企業を対象に8月に実施した調査で、回答した105社の2009年の平均実質賃上げ率は5・12%だった。業種別では消費財5・9%、医薬品6・95%、商業・貿易4・81%、金融・証券5・63%、保険3・44%、エネルギー・石油化学8%、通信4・93%、不動産開発3・93%、専門サービス6・2%、運輸・物流7%、製造4・68%(自動車5・21%、電子2・85%)。賃上げした企業は8割だった。
 2010年の平均実質賃上げ率見通しは平均5・34%で、業種別ではアグロ・食品6%、消費財5・44%、医薬品7・06%、商業・貿易4・87%、金融・証券5・63%、保険4%、エネルギー・石油化学5・5%、通信5・07%、不動産開発5・5%、専門サービス6・5%、製造4・88%(自動車5・54%、電子5・38%)。賃上げを予定している企業は76%だった。(日本語総合情報サイト@タイランド:10月27日付け)

【タイ】人材コンサルティングの米ヒューイット・アソシエイツがアジア各地の企業を対象に行った調査によると、2009年のタイの実質賃上げ率は企業の42%が賃上げを凍結したことから3・4%に止まった。2010年は賃上げを見送る企業が14%と予想され、実質賃上げ率は4・7%の見込み。
 アジアの他の主要国の2009年の実質賃上げ率と2010年の賃上げ率見通しはインドネシアが6%、8・7%、マレーシアが4・1%、5・2%、フィリピンが4・3%、6・4%、シンガポールが1・8%、2・6%、インドが6・3%、9・2%、中国が4・5%、6・7%、日本が1・2%、2・1%。(日本語総合情報サイト@タイランド:11月4日付け)

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