私は、サービスの意味合いを考えるときがあります。
日本には美しい言葉がありました。
”おもてなし”の言葉には、美しい響きが伴います。
この言葉には、細やかな気遣いがこもっているはずです。
これは、お金には換えられない。
タイにも、リゾートはたくさんあります。
サービスを楽しむのに、選ぶ苦労は不要です。
でも、対投資効果なんですよ。
つまり、金次第で得られるのかもしれません。
タイは、物価が安い。
日本に比べれば、数分の一でしょう。
サービスを受けようと思えば、お手軽です。
札束でほっぺたを叩くようなものだ。
だから、そこに”おもてなし”はありません。
金を払う対価としての、単純なるサービスです。
相手もやって上げる程度で、心がこもっていないのです。
そこで、日本に戻りましょう。
日本の観光地といえば、やはり温泉街です。
九州の湯布院みたいな、リゾート感覚の高級な場所もあります。
でも、日本人は、限られた制約条件(お金)の中で、楽しみを見出すことに喜びを感じていないでしょうか。
それを、もてなしと言うのであれば、ひなびた温泉宿であっても日本人は以外に満足するものです。
そこで、話しは山形県の銀山温泉になります。
ここには、藤屋という小さな旅館がありました。
今もありますが、それは抜け殻になってしまいました。
ジニーさんというカリフォルニアから来たお上さんは、もういないのです。
彼女が切り盛りした旅館だけが、未だに未練に残っています。
テレビにも取材されて話題になったし、CMに出て山形弁の日本語が印象的でした。
でも、宿は今風のデザインで改装しました。
費用を回収したかったのでしょう。
一泊三万円から五万円と宿泊料が跳ね上がりました。
馴染みの湯治客達は、泊まることすらできなくなったのです。
そして、ジニーさんは二人の子どもを連れて祖国へ旅立ちました。
今、彼女は離婚を希望されておられるとのことです。
お上の反対を押し切って、旦那さんは満足したのでしょうか。
残念ですが、もてなしの意義を取り違えたケースのように感じました。
本当なら、伝統の意義を加えてまごころを目指すべきだったのでしょう。
結局は、ジニーさんは”おしん”ではなかった。
そして、藤屋も商いが傾いてしまいました。
そんなことを、バンコクでふと思い出した道産子社長なのでした。
(この巻き、おわり)
おまけ:ポアされるべきは、あんただよ、、、
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