要するに、暑く感じる人体センサーが違うのである。
最低気温だって、平年なら20度以下になることも無い。それでも、地元の人は風邪を引いたりするぐらいだから、寒いとか悪寒が走るとか、そんな感覚はあるのだろう。しかし、こんな寒さの感覚は、道産子の自分にとってイメージが湧かない。いや、それ以上に、日本人の中でも暑く感じたり、寒く感じたりする皮膚感覚は、かなりの地方差=違いがあるだろう。内地(本州)の人であれば、30度はちょっと暑いかな程度でも、道産子なら”イヤー暑くてたまんないしょ”になってしまう。
東京へ働きに出てから三十年近くになるが、夏時分は、ついついエアコンに頼りっぱなしだった。そう言えば、札幌の実家には、扇風機が一台きりしかなかったなーとか思い出しつつ、部屋をギンギンに冷やしてビールをぐびぐび飲むとか、そんな幸せを日本では感じて来た。
それで、タイに来た当初から、現地の人は、温度をどんな風に感じているのか興味があった。それもそのはず、こっちが未だ暑いなと感じているのに、とっくりのセーターを着込んでいたり毛糸の帽子を被ったりしている。どうも、感覚的なズレは否め無い。まあ、年がら年中夏だらけで、昼間は絶対三十度以上になるから、気温のセンスも違うんだろう。
この間、アパートの営繕のお兄ちゃんが、エアコンを直しに部屋まで来てくれた。上さんも手持ち無沙汰だったから、興味本位で暑く感じる気温を聞いてみたらしい。その結果、その日の33度は当たり前で、暑くないのだそうだ。もし、暑いなーと感じてくれば、それは35度以上の時らしい。因みに、27度あたりで涼しく感じるような雰囲気だったとか。まあ、30度以下なら長袖を着て、暑い通りを歩いている現地の人を必ず見かけるので、当たっているのかもしれない。
これで思ったのだが、タイの人は、温度に対して我慢強くないだろうと察した。普通に活動できる温度範囲が意外に狭いように思うのだ。せいぜい、25度から35度までの狭い範囲が、彼らにとっての生活温度なのである。しかるに、日本人はどうだろうか。冬は氷が張るし、夏は暑さの余り陽炎が立つぐらいだ。一年で見ると温度差は30度以上には絶対なるだろう。そんな寒暖の大きい土地に暮らしてきたから、何事にも我慢強くなったのかもしれない。
こっちの人は、堪え性も無いだろう。マイペンライ(気にしない)になる。深く考えない。慣れれば、余りに気候が良すぎて、後先を考えなくともいい風土なのだ。そこで育まれた文物は、日本とかけ離れたとしてもしようが無い。
本日、幹線道路沿いに立つ会社の広告看板は、33度の気温を表示していた。中に大きなLED表示装置が仕込まれているのだが、今日はタイ人にとって過ごしやすい気温だろう。もちろん、道産子のおいらにはエアコン無しで仕事なんか出来ない。地獄だよーん。そんなタイの気温事情を感じた貧乏社長なのでした。
(この巻き、おわり)
おまけ:
過去に観測されたバンコクの最高気温と最低気温は、40.8℃と9.9℃(1924年1月、1955年1月、1974年1月、および1999年12月に記録)で、日中における気温で最も低かったのは、1999年12月に記録された22.3℃とのことです。
また、この投稿は、ブログ”北海道 札幌発 だべさ通信2”に自らコメントした内容に、手を加えました。
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