タイに在住している日本人は、結構、ブログ書きを日課としている人が多い。
そう言う人々だから、現地の生活に密着しながら、その観察をこまめに書いている場合がある。なりほど、リアルに表現されていると感心するのだ。この間、保管していたお米から虫が湧いてきたと言う話を、とあるブログで読んだ。
虫の名前は、穀象虫(こくぞうむし)だと書いていた。
英語で調べてみると、a rice weevil となっている。ライスとあるから、お米を専ら餌にしている虫さんには違いないだろう。自分も人生の中で、二度ほどしか見たことが無い。大きさは二三ミリに過ぎず、姿かたちは、象の鼻のように角を突き出した感じの甲虫だったと覚えている。気になったので、この言葉でグーグルの画像検索をしてみたら面白かった。
たくさんのミニチュア象さんが、これでもかと言うくらい、ぞろぞろ、出てくる。
しかも、米びつから湧き出したままに撮影された写真もあって、見ていてちょっと気持ちが悪くなった。一匹や二匹だけの写真なら、未だ愛嬌もあるのだが、群れていると興ざめする。日本もお米が主食だから、この虫を見かけるさまざまなチャンスがあるのだろう。
同じようにタイも、主食が当然お米が主食になるわけだ。しかも、世界有数の稲作の国だし、生産量が世界第六位(もみ量ベース)で、何と年間で二千七百万トンにも達する。ちなみに、日本は一千七十万トンで、意外にトップテンに入ったりしていて驚いた。
この”こくぞう”君、人様の主食を食い荒らす理由で、昔から害虫認定されて来た。
ただ、姿には愛嬌があって微笑ましいのである。憎たらしくお米から湧いてくるのは、可愛さ余って憎さ百倍の変化なのかもしれない。日本だと、米の保管、貯蔵の施設や技術が戦後急速に進歩したから、見かけるのもまれにはなった。でも、時として湧いてくるのである。
タイのこくぞう君は、日本と同じ種類なんだろうか?
そんな関心も持ってしまった。
一方、穀象には自分の興味深い思い出もある。どう言うわけなのか、この穀象が俳句の季語だと記憶しているからである。多分、高校時代に習った現代国語の俳句から刷り込まれたのだろう。ネットで調べた限り、人口に膾炙している句もあるのが分かった。
穀象のゐる米すこし踏み通る 山口誓子
穀象の一匹だにもふりむかず 西東三鬼
穀象の群を天より見るごとく 西東三鬼
徒食の手もて穀象を掻き廻す 福田蓼汀
しかも、五月の季語なのだ。春の盛り、虫たちも活発になる頃、腹をすかしては戦にならず、おすそ分け気分でひょこっと米びつに現れたこくぞう君達の姿が浮かぶ。そんな、身近な虫だったのだろう。
そんなことで、タイも日本も米の食文化が同じだから、俳句にまでたどり着けて、びっくりする貧乏社長なのでありました。
(この巻き、終り)
4 件のコメント:
我が家の米はほとんどが頂き物なので仕方ないでですが、一度穀象虫が付くとすべてを取り除くのは不可能です。
一応、コザを引いてそこに米を天日干しするとかなりいなくなりますが、完全というわけにはいきません。
その米をまたしまって置くとまた増えています。
先日50キロぐらいの米を家畜用の餌として実家に持って行きました。
穀象虫は洗米をすると取り除けますが、米自体が食べられてまずくなっています。
全く厄介な虫です。
どらえもんさんへ、
コクゾウムシの話は、面白かったので、何時か自分なりに記事にしようと考えていました。
この虫は、お米の中に卵を産み付けて成虫になると出てきて、それを繰り返して繁殖するようです。ですから、貰ったお米にすでに産卵されたのが混じっていると、一気に虫が増えてしまうんだろうと思うのですよ。
完全な密封の箱に、脱酸素剤エージレスなんか入れたら、虫も酸欠で死んでしまって、駆除できるんじゃないかと、思ったりします。
ウチにも5月くらいから、コクゾームシくんがやってきます。
ウチではお茶の葉を入れる袋に唐辛子を詰め、それを何個かお米の袋に予め入れています。それだけでコクゾームシくんが(ある程度)寄り付かなくなりますよ。
お米を買ったら(もらったら)直ぐに、唐辛子を買いに行くようにしています。
とよこさんへ、
自分がコクゾウムシを見かけたのは、北海道では小学生の頃に一度しかありません。気候が冷涼なせいもあるでしょうが、道産米は不味いから寄り付かなかったのでしょう。
ですから、この虫の姿を見たときは、害虫のイメージより、珍しさもあって象さんに似た姿の可愛らしさが印象的だったのです。
そのような経験のためか、こくぞう君は憎めないんですね。因みに、上さんは、ご飯を毎日炊くのですが、この虫が湧いたと言う話は聞いておりません。多分、アパートで月一回の殺虫剤散布をしていますから、寄り付けないのだと思います。
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