ここタイでは、新型インフルエンザの死亡者が週間でゼロになったんだそうである。
だからと言って、もうこれ以上は死者が出ないだろうと想像の範囲で、毎週の報道発表まで止めてしまうのは、いかがなものだろう。これからは、誰が死のうが、とにかく数は分からなくなってしまった。いやはや、タイ人の気質は、正に熱しやすく冷めやすい、喉元過ぎれば熱さを忘れる、のである。
保健省の集計を見る限り、先月末の時点で新型インフルエンザによる死亡者は、確かに165人までに達してはいた。その後の一週間で、誰も死ななかったと言うのである。だから、発表をヤーメタと言うのだが、本音は統計を取るのが面倒臭くなったぐらいの話だろう。
保健省によれば、医療ボランティアを派遣するなど感染防止策に取り組んでおり、その成果が表れたと述べたようだが、インフルエンザの流行する季節はこれからやって来るのである。本格的に乾燥した時季ともなれば、細菌はそこかしこと空気中を漂い出すのだ。だから、息をして空気さえ吸い込めば、即感染の可能性は高まる。
しかも、これからは地元の人にとっては、涼しく、時に寒さが応える季節に突入するのだ。チェンマイのような北部やイサーンの東北地方では、早朝十度以下に冷え込む日もある。住宅も、暑く湿った雨季をしのぐために風通し良くできているから、密閉性も高くない。そんな造作の家に、毛布一枚にくるまって寝ていれば、凍えて風邪を引いたり、果ては凍死してしまう人だって現れてくるわけだ。
現に、今年の1月14日には、北部チェンライ県にある高床式木造住宅の床下にあるベットで、凍死しているタイ人男性(37)が発見されている。
だから、死者が出なくなったのは一時的な話なのだ。これから、インフルエンザが改めて流行り出すのではないだろうか。
そんな時に発表を止めてしまったのには、裏に理由があるからだと勘ぐらざるを得ない。これからの季節は、観光のハイシーズンだ。海外からどっと旅行客が大挙してタイに押し寄せてくる。そんな書入れ時に、どのような理由であろうと、お客さんが減っては経済がたまらないのである。
昨年は、民主化運動支持派のPDAがスワンナプーム空港を占拠したせいで、観光業界は大きな打撃を受けてしまった。その影響は計り知れないものがあって、今また、インフルエンザで二の舞になれば、今度は壊滅的と言って良いかも知れない。うーん、少数を犠牲にして、最大多数の利益、国民経済の発展を政府は求めるというのであろうか。
これも、皆が生活して生きて行くめにはしようが無いのかもしれない。
そんなやり切れなさを感じつつ、発表しなきゃ自己防衛するしかないさ、インフルエンザに絶対に罹るもんかと意気込んでみる貧乏社長なのでありました。(この巻き、終り)
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